媒介契約は、専任と一般のどちらを選ぶべきか?
「何社にも頼んだ方が早く売れますか?」
岡山市内のマンションを売却することになった売主様から、次のような質問がありました。
「一社だけに任せるより、何社にも頼んだ方が、早く高く売れるのではないですか?」
マンションの売却を不動産会社へ依頼するときは、「媒介契約」を結びます。
主な選択肢は、一社へ任せる「専任媒介」と、複数社へ依頼できる「一般媒介」です。
どちらが優れているかではなく、物件の条件や売主様の希望によって、適した契約は異なります。
専任媒介と一般媒介の違い
専任媒介は、売却活動を一社へ任せる契約です。
窓口が一つになるため、問い合わせや内覧、価格交渉などの状況をまとめて把握しやすくなります。
依頼を受けた不動産会社には、レインズへの登録や、売主様への定期的な活動報告が義務付けられています。
一方、一般媒介は、複数の不動産会社へ同時に依頼できる契約です。
各社がそれぞれ買主を探せるため、一見すると情報が広く伝わるように感じます。
ただし、複数社との連絡や内覧日程、広告内容、価格変更などを、売主様自身が整理する必要があります。
主な違いをまとめると、次のようになります。
| 比較項目 | 専任媒介 | 一般媒介 |
|---|---|---|
| 依頼できる会社 | 一社 | 複数社 |
| 売主様の窓口 | 一つ | 複数 |
| レインズへの登録 | 義務あり | 義務なし |
| 定期的な活動報告 | 義務あり | 義務なし |
| 売主様が見つけた買主との契約 | 原則可能 | 可能 |
専任媒介の有効期間は最長3か月で、レインズへの登録期限は契約日の翌日から7営業日以内、活動報告は2週間に1回以上です。なお、専属専任媒介では条件がさらに厳しくなります。国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」
一般媒介なら、本当に広く売れるのか
一般媒介で複数社へ依頼しても、単純に買主の数が増えるとは限りません。
同じ物件が各社のホームページや不動産情報サイトへ重複して掲載されると、買主から、
「なぜ多くの会社が同じ部屋を掲載しているのだろう」
「売却を急いでいるのではないか」
と思われることがあります。
広告ごとに写真やコメント、物件情報が異なると、どれが正しい情報なのか分かりにくくなる場合もあります。
また、専任媒介であっても、レインズへ登録すれば、ほかの不動産会社から買主の紹介を受けられます。
「一社へ任せること」と「一社だけで買主を探すこと」は、同じではありません。
岡山では物件ごとの戦略が重要
岡山の中古マンション市場では、マンションの立地、築年数、間取り、駐車場、価格帯によって、対象となる買主が異なります。
岡山駅周辺のタワーマンションや希少性の高い住戸であれば、県外の購入希望者や投資家への提案が有効なこともあります。
一方、大元、北長瀬、問屋町など、実際に住む買主が中心となるエリアでは、駐車場の有無や周辺の競合物件との比較が重要になります。
必要なのは、依頼する会社の数を増やすことだけではありません。
そのマンションを探している買主へ、物件の魅力をどのように届けるかです。
専任媒介が向いているケース
次のような場合は、専任媒介が向いています。
- 信頼できる担当者へ販売を任せたい
- 窓口を一つにまとめたい
- 定期的に販売状況の報告を受けたい
- 写真や広告の見せ方を統一したい
- 反響を分析しながら販売方法を調整したい
- 居住中のため、内覧日程を整理したい
専任媒介では、問い合わせや内覧後の感想を一社が集約できます。
そのため、「価格に問題があるのか」「写真や広告に改善点があるのか」「駐車場が検討の障害になっているのか」を判断しやすくなります。
一般媒介が向いているケース
一般媒介が向いているのは、次のような場合です。
- 複数の会社へ依頼したい明確な理由がある
- 各社との連絡や内覧調整を自分で管理できる
- 売却を急いでおらず、広く可能性を試したい
- 各社の販売状況を比較しながら進めたい
ただし、一般媒介を選ぶ場合でも、依頼する会社を増やし過ぎない方がよいでしょう。
広告内容や販売価格を統一し、問い合わせや内覧の状況を売主様自身が整理する必要があります。
契約の種類より、担当者の動き方を見る
最初にご紹介した売主様は、複数社へ依頼できる一般媒介を検討していました。
しかし、各社の販売方法を確認すると、提案内容には違いがありました。
ある会社は、「ポータルサイトへ掲載します」という説明だけでした。
別の会社は、同じマンションの購入希望者への紹介、室内写真の撮影方法、周辺駐車場の調査、内覧後の報告、価格を見直す基準まで具体的に提案しました。
売主様は後者と専任媒介を結び、窓口を一本化しました。
販売開始後は、問い合わせや内覧の状況が定期的に報告され、買主の反応に合わせて写真や広告内容も改善されました。
結果として、販売開始から約二か月で購入申込みにつながりました。
売れた理由は、専任媒介を選んだからだけではありません。
担当者が市場の反応を確認しながら、必要な販売活動を継続したからです。
大切なのは「誰と、どう売るか」
専任媒介と一般媒介には、それぞれメリットがあります。
しかし、契約の種類だけで売却の成否が決まるわけではありません。
確認したいのは、
- どのような買主を想定しているか
- どのような広告や紹介活動を行うか
- 他社からの買主紹介にも対応するか
- どのように販売状況を報告するか
- 反響がない場合に何を改善するか
という点です。
岡山でマンションを売るときに大切なのは、依頼する会社の数ではありません。
「自分のマンションを理解し、売却まで責任を持って動いてくれる担当者がいるか」
ということです。
媒介契約を選ぶことは、書類の形式を選ぶことではありません。
大切なマンションを、誰と、どのような方針で売っていくかを決めることなのです。
次回予告
第12話
「広告に出せば、マンションは売れるのか?」
インターネットへ掲載するだけでは、物件の魅力は十分に伝わりません。買主に選ばれる写真、紹介文、販売活動について考えます。
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