2024年、日本でひとつの節目が生まれました。その年に亡くなった方のうち、相続税が課された割合が初めて10%を超えたのです(国税庁「令和6年分 相続税の申告事績の概要」)。
「10人に1人」という数字、どう感じますか? 以前は「お金持ちだけにかかる税金」というイメージが強かった相続税ですが、いまや普通の家庭にも着実に関係してきています。
この記事では、その背景にある「地価の上昇」と「税制の変化」が地方都市の不動産オーナーにどんな影響をもたらしているか、わかりやすくお伝えします。
そもそも相続税ってどんな税金?
相続税は、亡くなった方の財産を相続・遺贈によって受け取ったときにかかる税金です。対象になるのは現金や預貯金だけでなく、土地・建物などの不動産や非上場株式なども含まれます。
計算のベースになる基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」。たとえば配偶者と子ども1人が法定相続人なら、4,200万円を超えた部分に税金がかかります。
土地の評価には「路線価」が使われます。これは国税庁が毎年公表する、道路に面した土地1㎡あたりの価格のこと。路線価が上がると、持っている土地の評価額も上がり、相続税の負担が増えることになります。
なぜ「10人に1人」になったのか
2015年に相続税の基礎控除額が約40%引き下げられたことが、大きな転換点でした。それまでは課税される人が亡くなった方全体の4%台にとどまっていましたが、改正後は一気に増加。そこからさらに伸び続け、2024年についに10.4%に達したわけです。
国税庁のデータによると、2024年の課税対象となった相続財産の総額は約23兆3,846億円。そのうち土地は全体の約30%を占めており、現金・預貯金と並んで相続財産の大きな柱になっています。
背景にあるのが、不動産と金融資産の価値上昇です。株価の上昇に加え、路線価も2024年まで3年連続で全国平均が上昇(2024年は前年比+2.3%)。2025年はさらに加速して+2.7%と、2010年以降で最大の上昇率を記録しています。
地方都市も「他人事」ではない
路線価の上昇は、都心だけの話ではありません。2025年の路線価で都道府県庁所在地の最高路線価が上昇したのは35都市。横ばいが11都市、下落したのは鳥取市の1都市のみでした。
再開発が進む地方都市では、駅周辺や幹線道路沿いの土地評価が急上昇しているケースもあります。「昔から持っている実家の土地」や「親から引き継いだ古い家」が、気づかないうちに高い評価額になっていることも珍しくありません。
地価が上がるということは、売る立場からすればプラスです。でも相続という観点では、財産の評価額が上がる=将来の相続税が増えるというリスクも同時に抱えることになります。
今後はどうなる?
路線価は4年連続で上昇中であり、専門家の間では「課税割合はさらに上昇する可能性が高い」との見方が広がっています。
また、2024年からは「相続開始前の生前贈与を相続財産に加算する期間」が、従来の3年から最長7年へと延長されました。これにより、駆け込みの節税対策が難しくなっています。税務調査も年々強化されており、2024年度の実地調査件数は前年比111%と大きく増えています。
こうした流れを踏まえると、不動産を持ち続けることによる相続時の税負担リスクは、今後じわじわと大きくなっていく可能性があります。
「いつか売ろう」を考えているなら、今が動きどきかもしれない
地方の不動産市場では、人口減少の進行とともに「売りたくても売れない」時代が来るとも言われています。一方で今は、路線価・地価が上昇しているぶん、売却価格も高く出やすい時期です。
タイミングを逃さないためにも、まず現在の不動産がいくらで売れるかを把握しておくことが大切です。
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※本記事は公開情報をもとに作成しています。税務上のご判断は、税理士など専門家にご相談ください。
※出典:国税庁「令和6年分 相続税の申告事績の概要」、国税庁「令和7年分の路線価等について」




