日本中で「古いマンション」が増えている
「築40年以上のマンションが、今や全国に148万戸ある」と聞いたら、どう感じますか?
国土交通省のデータによると、2024年末時点でそれだけの数の老朽マンションが存在しています。そしてこの数字、今後さらに急増していく見込みで、2044年には約483万戸に達するとも言われています。
建物は年を重ねれば当然老朽化します。外壁の剥落、給排水管の腐食、耐震性の不足……。住んでいる方はもちろん、近隣の住民にとっても他人事ではない問題です。
では、老朽化したマンションはどうすればいいのでしょうか? 選択肢としては「建て替え」「売却」「修繕して維持」の3つが考えられますが、実はどれも簡単ではないのが現状です。
建て替えは「言うは易し、行うは難し」
マンションを建て替えるには、これまで区分所有者と議決権の「5分の4以上」の賛成が必要でした。つまり、20戸のマンションなら16戸以上が「建て替えに賛成」しなければ話が進まないわけです。
これがなかなか難しい。理由は主に2つあります。
ひとつは費用の問題です。建て替えにかかる住民の自己負担は、数年前までの平均でも1,940万円ほど。現在はさらに建築費が高騰しており、4,000万円を超えるケースも珍しくないと言われています。
もうひとつは住民の高齢化です。築40年以上のマンションでは、世帯主が70歳以上の世帯が半数を超えています。高額な費用を捻出するのが難しかったり、建て替え完了まで10〜15年かかることを考えると、なかなか賛成に踏み切れないという方も多いでしょう。
その結果、2025年3月末時点で実際に建て替えが実施されたマンションは累計でわずか323件・約2万6,000戸。全国713万戸という規模に比べると、ほんのわずかな数字にとどまっています。
2026年4月、法律が変わった
こうした状況を受け、2026年4月に区分所有法が大きく改正されました(約23年ぶりの大規模改正です)。
主なポイントは次の通りです。
① 建て替えの決議要件が緩和された
耐震性不足やバリアフリー基準への不適合など、一定の条件を満たす場合は、これまでの「5分の4以上」から「4分の3以上」の賛成で建て替えを決議できるようになりました。
② 所在不明の所有者を母数から除外できるようになった
相続などで連絡が取れなくなった所有者がいる場合、裁判所の決定を経ることで、その方を決議の母数から外せるようになりました。これまではこうした所有者が実質的に「反対票」として機能してしまっていたため、大きな前進です。
③ 建て替え以外の選択肢も現実的に
これまで建物と敷地を一括で売却するには原則として所有者全員の同意が必要でしたが、改正後は建て替えと同様の多数決(5分の4以上、条件次第で4分の3以上)で決議できるようになりました。また、建物を取り壊すだけ、一棟まるごとリノベーションするといった選択肢も、多数決で進められるようになっています。
法律の後押しで、今後は老朽マンションの「出口」が見つかりやすくなることが期待されています。
地方都市への影響は、都市部より深刻かもしれない
ここで少し立ち止まって考えてほしいのが、地方都市特有の事情です。
地方都市や過疎エリアでは、人口減少と空き家率の上昇により、実際に価格が下落しているエリアもあります。特に中古の戸建て住宅や土地などは、「売れない」「価格を下げても買い手がつかない」というケースが増えてきました。
都市部と地方のギャップ拡大も、2025年問題が引き起こすと予測される不動産市場の大きな変化の一つです。つまり、都市部では価格が維持・上昇しやすい一方で、地方では需要の縮小がじわじわと続いていく、という構図です。
老朽マンションが増え、住民が高齢化し、人口も減っていく——地方都市では、この3つが同時進行しています。建て替えの費用を賄うために「容積率の余裕を活かして部屋数を増やし、新たな購入者に売る」という都市部でよく使われる方法も、地方では買い手がつきにくく成立しにくいのが現実です。
さらに、所有者の高齢化が進むことで、福祉施設への転居や死亡が増加して空き家が生まれ、地域によっては思うように売却もできず、空き家のまま放置されることも大きな懸念事項です。
管理が行き届かなくなったマンションが増えれば、地域全体の資産価値にも影響が出てきます。
今後、どういう流れになっていくのか
法改正によって、老朽マンションの「出口」が見つかりやすくなったのは確かです。ただ、実際に建て替えや売却が一気に進むかというと、そう単純でもありません。
費用の問題、合意形成の難しさ、そして地方では買い手不足という壁もあります。
ひとつ注目しておきたいのが、「所有者の居住率が低いマンション」の動向です。賃貸に出していたり、空き室のままだったりと、実際にはその場所に住んでいない所有者が多いマンションでは、「引っ越す必要がない分、売却や建て替えに賛成しやすい」という面があります。今後はこうした物件を中心に、売却・解体が進んでいく可能性があります。
一方で、「今は居住者が少ないから大丈夫」と思っていても、近隣で同様の老朽マンションの売却が相次ぐようになれば、地域全体の需給バランスが崩れ、価格が下がっていくリスクも考えておく必要があります。
「まだ大丈夫」が一番危ない
「うちのマンション、まだそんなに古くないし」「管理組合がしっかりしているから大丈夫」と思っている方も多いかもしれません。
でも、周辺の物件が老朽化・空き家化していく中で、自分の物件だけ価値を保つのは難しくなっていきます。地方都市では特に、「売りたいと思ったときには買い手がいなかった」という状況がリアルに起こりえます。
売却を考えているのなら、早めに動いておくことが選択肢の幅を広げる近道です。まずは今の物件がいくらで売れるのかを知っておくだけでも、判断の材料になります。
まずは査定から始めてみませんか?
「売却を検討してみたいけど、どこから手をつければいいかわからない」という方には、不動産無料査定サービス「不動産売却王」がおすすめです。
ネットで簡単に自動査定ができるサービスで、今の物件の大まかな価値をすぐに確認できます。「査定=すぐ売らなければいけない」というわけではありませんので、情報収集の第一歩として気軽に使ってみてください。
まず「知ること」が、これからの判断を変えていきます。
※本記事は確認可能な公開情報をもとに作成しています。個別の物件に関する判断は、専門家にご相談ください。




