マンションを所有していると、住宅ローンや固定資産税だけでなく、毎月の管理費や修繕積立金も負担します。
いま、そのマンション管理を取り巻く環境が変化しています。人件費や資材費などの上昇を背景に管理委託費の値上げが行われるほか、管理会社から契約終了を申し入れられるケースも出ています。
マンションの価値を考えるときは、立地や築年数、間取りだけでなく、「適切に管理を続けられる体制があるか」という視点も重要になっています。
管理会社を変更したマンションは約4分の1
国土交通省は5年ごとに「マンション総合調査」を実施し、管理組合や区分所有者の状況を調べています。
国土交通省「マンションに関する統計・データ等」
2023年度調査では、分譲時の管理会社から別の管理会社へ変更したマンションは24.5%でした。
特に小規模なマンションでは、管理会社にとって採算を確保しにくいケースもあります。管理委託費の値上げに合意できず、契約継続が難しくなれば、新しい管理会社を探さなければならない可能性もあります。
注意したいのは、その準備期間です。
国土交通省の「マンション標準管理委託契約書」では、管理組合と管理会社のどちらからでも、少なくとも3カ月前に書面で申し入れることで契約を終了できる内容になっています。
国土交通省「マンション標準管理委託契約書」
実際の契約内容は各マンションで異なるため、まず現在の管理委託契約書を確認しておきたいところです。
「全部委託する」以外の管理方法も検討する
管理会社との契約条件が変わった場合でも、「高い委託費を受け入れるか、すべて住民で管理するか」の二択とは限りません。
清掃、会計、設備点検、管理費の収納など、マンション管理にはさまざまな業務があります。
管理組合で対応できる業務と専門業者へ任せる業務を整理し、一部だけ外部へ委託する方法も考えられます。
ただし、単純に費用を安くすればよいわけではありません。設備の点検や清掃など必要な管理まで削れば、建物の維持に影響する可能性があります。
「何にいくら支払っているのか」「その業務は本当に必要か」を管理組合で把握することが重要です。
大規模修繕に備えて長期修繕計画もチェック
もう一つ確認したいのが、長期修繕計画と修繕積立金です。
国土交通省のガイドラインでは、長期修繕計画について30年以上かつ大規模修繕工事を2回含む期間以上とすることや、工事費・物価などの変化を踏まえて5年程度ごとに見直すことが示されています。
国土交通省「長期修繕計画・修繕積立金に関するガイドライン」
資材価格や人件費が変化すれば、以前作成した計画通りの積立金では工事費を賄えなくなる可能性もあります。
そのため、「修繕積立金はいくらあるか」だけを見るのではなく、今後予定される工事と必要資金まで確認することがポイントです。
マンションの「管理状況」も資産を考える材料に
国もマンション管理の適正化を進めています。
2022年度から始まった「管理計画認定制度」では、一定の基準を満たしたマンションの管理計画を地方公共団体が認定します。
国土交通省「マンション管理計画認定制度」
認定基準には、年1回以上の総会開催、管理費と修繕積立金の区分経理、長期修繕計画、修繕積立金などが含まれています。
マンション所有者にとって大切なのは、管理会社任せにするのではなく、自分のマンションがどのように管理されているのかを知っておくことです。
管理委託費、契約期間、長期修繕計画、修繕積立金、大規模修繕の予定などを一度確認してみましょう。
管理環境の変化だけを理由に「売った方がよい」と判断する必要はありません。まず管理状況と現在の市場価値を把握し、そのうえで住み続ける、賃貸する、売却するといった選択肢を比較することが大切です。
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