「親の家を相続する」と聞くと、土地や建物を受け継ぐことに目が向きがちです。しかし、相続では預貯金や不動産などの資産だけでなく、借金や未払いの費用なども原則として引き継ぎます。
家族が相続後の判断に困らないよう、生前から財産と負債を整理し、不動産の状況を共有しておくことが大切です。
不動産の価値と借り入れを一緒に把握する
相続の対象には、預貯金、土地・建物、株式などのほか、借金や未払いの税金・医療費なども含まれます。保証債務も確認が必要ですが、引き継ぐ範囲は契約内容によって異なるため、保証契約書などを残しておきましょう。
自宅に住宅ローンが残っている場合は、団体信用生命保険の加入状況も重要です。保障の対象となれば、死亡時に保険金で残債が返済される仕組みがあります。残高だけで負担を判断せず、借入先に保障内容と必要な手続きを確認してください。
死亡保険金は相続財産と税金の扱いを分けて考える
受取人が指定された死亡保険金は、原則として受取人自身の財産です。一方、亡くなった人が保険料を負担していた場合は、相続税の対象となる「みなし相続財産」に該当します。保険料の負担者や受取人によっては、所得税や贈与税の対象になります。
また、相続放棄をした人が死亡保険金を受け取る場合、相続人に認められる死亡保険金の非課税枠は適用されません。「受け取れること」と「非課税になること」は別に確認する必要があります。
相続放棄の判断には期限がある
借金が多い場合などには、相続放棄も選択肢になります。ただし、「家だけ相続し、借金だけ放棄する」という選び方はできません。
相続放棄は、原則として自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所で手続きをします。調査しても判断材料がそろわない場合は、期間内に熟慮期間の伸長を申し立てる方法があります。
期限を意識しながら調査を進め、負債や保証契約に不明点があれば早めに弁護士などへ相談しましょう。
生前の財産リストには不動産の管理情報も
財産リストには、金額だけでなく、契約先や書類の保管場所も記載すると家族が調べやすくなります。不動産については、次の情報をまとめておきましょう。
- (1) 所在地・地番、名義人、共有持分
- (2) 住宅ローンの借入先・残高・団信の加入状況
- (3) 固定資産税、管理費・修繕積立金などの負担
- (4) 賃貸借契約の有無、管理会社の連絡先
- (5) 登記関係書類や契約書の保管場所
財産リストは定期的に更新し、家族に保管場所を伝えておくことも大切です。
相続後の売却・保有を判断する準備に
不動産を相続した場合、取得を知った日から原則3年以内に相続登記を申請する義務があります。以前の相続で名義変更が済んでいない物件も対象になるため、登記状況を確認しておきましょう。
売却するか、住むか、貸すかを考える際には、不動産の現在の価値と維持費の把握が役立ちます。不動産売却王の無料査定も、家族で選択肢を比較するための材料として活用できます。負債を含む財産全体を整理し、無理なく引き継げる方法を考えていきましょう。