「親が住まなくなった実家を、この先どうすればいいのだろう」
相続や親の施設入居などをきっかけに、こうした悩みを抱える方は少なくありません。最近では、維持費だけでなく、地震や台風などの災害、建物の老朽化を理由に「実家じまい」を考える人も増えているようです。
不動産仲介会社ネクスウィルが全国の30~60歳の男女600人を対象に行った「災害・住居環境」に関する実態調査では、災害リスクや建物の老朽化をきっかけに実家じまいを検討している人が42%に上りました。
約4割が「実家じまい」を意識
調査では、25%が「まだ話し合ってはいないが、自分の中でいつかは必要だと考えている」と回答。「家族と具体的に話し始めた」が11%、「不動産会社に相談するなど検討を進めている」が6%でした。
注目したいのは、実家じまいを考える理由です。
最多は「近隣住民に迷惑をかけるのが怖いから」で36%。続いて「地震や台風などの災害のたびに『実家は大丈夫か』と心配するストレスをなくしたいから」が34%でした。
実家の問題は、単に「使っていない家をどうするか」だけではありません。遠方に住んでいれば、台風のたびに屋根や外壁が心配になったり、庭木や雑草の管理が負担になったりします。
空き家は「何もしない」ことにもリスクがある
建物は人が住まなくなると、換気不足や雨漏りの発見の遅れなどによって劣化が進むことがあります。老朽化した建物では、外壁材や瓦の落下、庭木の越境などが近隣トラブルにつながる可能性もあります。
国土交通省も、放置された空き家について、倒壊などの安全上の問題だけでなく、衛生面や防犯面でも周囲へ悪影響を及ぼす可能性を指摘しています。
さらに、2023年12月に施行された改正空家法では、「特定空家」になる前の段階でも、適切に管理されていない空き家を「管理不全空家」として市区町村が指導・勧告できる仕組みが導入されました。勧告を受けると、敷地に適用されている固定資産税の住宅用地特例が解除される場合があります。
つまり、実家をそのまま残しておく場合にも「適切に管理し続ける」という判断が必要になります。
実家じまいは「売るか残すか」の二択ではない
大切なのは、空き家になってから慌てて処分を決めることではありません。
まずは、親が今後その家に住む可能性、家族の誰かが利用する可能性、賃貸や売却ができる可能性、建物の状態、維持管理にかかる費用などを整理してみましょう。
特に地方の実家では、同じ市町村でも立地や道路状況、建物の状態などによって不動産としての需要は大きく異なります。「古い家だから価値はないだろう」と自己判断せず、土地を含めて現在の市場価値を確認しておくことが大切です。
売却するかどうかは、その後に決めても遅くありません。
親が元気なうちに話しておくことが第一歩
実家じまいで難しいのは、不動産そのものよりも家族間の意思確認かもしれません。
親にとって実家は長年暮らしてきた大切な場所です。「空き家になるから売ろう」と結論を急ぐのではなく、「この家を将来どうしたい?」と話し合うところから始めるのがおすすめです。
その材料の一つとして、実家の現在の資産価値を把握しておく方法もあります。無料査定などを利用して「売却するとしたらどの程度の評価になるのか」を知っておけば、維持する場合の費用と比較しながら家族で考えやすくなります。
実家じまいは、必ずしも「すぐに売却する」という意味ではありません。災害や老朽化が心配になる前に、残す・活用する・売却するという選択肢を家族で整理しておくことが、将来の負担を減らす第一歩ではないでしょうか。
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