知っておきたい「相続と不動産」の基本
人が亡くなったとき、残された財産は配偶者や子どもなどの相続人に引き継がれます。これが「遺産相続」です。
財産といっても、現金や預貯金だけではありません。自宅の土地・建物といった不動産、株式などの有価証券、そして借金などの債務も含まれます。相続の手続きには、死亡届の提出から始まり、相続人の調査、遺産分割協議、金融機関での口座解約や名義変更など、さまざまなステップがあります。戸籍謄本や印鑑証明といった書類もひと通り必要です。
相続税については、財産の総額が一定額(基礎控除:3,000万円+600万円×法定相続人数)を超えた場合にのみかかります。国税庁のデータによると、2024年に相続税の課税対象となったのは死亡者全体の約10.4%。つまり、約9割の方には相続税がかかっていない計算です。
ただ、「相続税がかからないから安心」かというと、話はそう単純ではありません。
今、日本は「大相続時代」に入っている
高齢化が進む日本では、相続の件数が年々増え続けています。
2024年の死亡者数は約160万人。団塊世代が全員75歳以上の後期高齢者となった今、資産が次の世代に引き継がれる「大相続時代」が本格的に始まっています。
こうした流れを受けて、不動産の売却理由として「相続」を挙げる割合が急増しています。LIFULL HOME’Sの調査によると、不動産売却の査定依頼に占める相続関連の割合は、2019年の15.9%から2025年には25.0%にまで拡大。今や4件に1件が相続をきっかけにした売却となっています。
そして、相続で引き継いだ不動産の約7割が、売却査定の時点ですでに空き家になっているというデータもあります(オープンハウスグループ調べ)。
地方都市への影響——「売りたくても売れない」が現実になる前に
この問題が特に深刻なのが、地方都市です。
LIFULL HOME’Sのデータでは、相続を理由とした不動産売却の割合が最も高い都道府県は島根県(35.6%)、愛媛県(35.1%)、佐賀県(34.9%)と、西日本の地方圏が上位を占めています。
背景にあるのは、地方特有の構造的な問題です。若い世代が都市部へ流出し、地元に残った親世代が高齢化。親が亡くなったり施設に入居すると、誰も住まない実家だけが残される——そんなケースが地方では急増しています。
総務省の調査では、全国の空き家は2023年時点で約900万戸、空き家率は13.8%と過去最高を更新しました。地方圏ではさらに高く、和歌山県・徳島県では21.2%に達しています。
そして、空き家が増えると何が起きるか。売りに出される物件が増える一方で、買い手が増えない——需給バランスが崩れ、地方の不動産価格への下落圧力が強まります。「売りたくても売れない」「価格を下げても買い手がつかない」という状況が、地方では現実のものになりつつあります。
今後、どんな流れが予想される?
高齢化はこれからも進み、相続件数の増加は続きます。地方を中心に売却物件の供給が増え続ける一方で、人口減少により需要の回復は見込みにくい状況です。
また、2023年12月には空家等対策特別措置法が改正され、管理が不十分な空き家は固定資産税の優遇措置(住宅用地特例)の対象外となりました。放置すれば税負担が増すリスクも現実になっています。
さらに、2024年4月からは相続登記が義務化されています。相続した不動産は3年以内に登記が必要で、手続きを放置すると過料の対象になる場合があります。「とりあえず様子見」という選択肢が、以前より取りにくくなっています。
公的推計では、2043年には全国の空き家率が25%前後に達する可能性も指摘されています。今後、地方の不動産は「売ろうと思ったときには売れない状況」に近づいていくリスクを抱えています。
「今の価値」を知ることが、最初の一歩
「すぐに売らなければいけない」というわけではありません。ただ、相続した不動産をどうするか悩んでいる方や、将来的な売却を考えている方にとって、「今の価値がいくらなのか」を知ることは、とても大切な出発点になります。
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※本記事は公開情報をもとに作成しています。相続手続きや税金については、専門家(税理士・司法書士など)へのご相談をあわせておすすめします。
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