マンションの大規模修繕は、安心して暮らせる環境を維持するために欠かせません。一方、多額の修繕積立金を使うため、「工事費は妥当なのか」「業者選びは適切なのか」と気になる所有者もいるでしょう。
国土交通省は2026年9月29日、大規模修繕工事の適正な発注に向けた有識者検討会の設置を発表しました。今回の動きをきっかけに、ご自身のマンションの修繕計画や発注方法を確認してみませんか。
国の検討会では何を話し合う?
初会合は2026年10月19日に開催予定です。管理組合が発注時に留意すべき事項や、適切な事業者を確保するための方策などを議論します。検討会資料と議事要旨は、後日、国交省のホームページで公表される予定です。
背景には、関東地区のマンション大規模修繕工事を巡る談合があります。国交省によると、施工業者だけでなく、設計コンサルタント業務の受託者も独占禁止法違反による排除措置命令を受けました。専門家に依頼していても、管理組合側が選定の経緯を確認できる仕組みが重要です。
国土交通省「検討会の設置・開催について」
「発注等に関する相談窓口の周知等について」
見積もりは総額と選定過程を確認
国交省は以前から、事業者を選ぶ際の意思決定の透明性と、利益相反への注意を呼びかけています。利益相反とは、管理組合の利益を守る立場の専門家が、施工会社側の利益にも関わり、公平な判断が損なわれるおそれのある状態です。
管理組合としては、次のような点を確認すると、判断の根拠を共有しやすくなります。
- 見積もりの工事範囲や仕様がそろっているか
- 候補業者を誰が、どの基準で選んだか
- コンサルタントと施工会社の関係について説明があるか
- 採用理由や比較結果が議事録などに残っているか
金額の安さだけで決めず、工事内容、施工体制、保証や工事後の対応も比較しましょう。複数の見積もりがあっても、条件が異なれば単純な価格比較はできません。
国土交通省「マンション大規模修繕工事等の発注等の適正化について」
判断に迷ったら公的な相談窓口を活用
工事や見積もりの専門知識を、理事や所有者だけで補うのは簡単ではありません。
国交省は「住まいるダイヤル」と「マンション管理センター」を相談先として案内しています。住まいるダイヤルでは無料の見積チェックサービスも紹介されています。ただし、見積チェックだけで談合の有無まで判定できると考えず、疑問点の整理や説明を求めるための材料として活用しましょう。
相談の際は、見積書、工事仕様書、業者の比較資料など、手元にある資料を整理しておくと説明しやすくなります。
売却を考える所有者も管理資料を確認
売却を検討している場合は、大規模修繕の実施履歴、今後の長期修繕計画、修繕積立金の残高や増額予定を確認しておきましょう。これらを整理しておくと、購入検討者に維持管理の状況や将来の負担を説明しやすくなります。
大規模修繕を行っただけで売却価格が上がるとは限りません。必要な工事を適切な費用と手順で進め、記録を残すことが大切です。
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