住み替えや相続でマンションを所有したとき、「貸して家賃収入を得るか、売却して現金にするか」と迷う方もいるでしょう。
東京23区では、分譲マンションの二次流通市場で、賃貸より売却の比重が高まっています。ただし、地域全体の動きだけで、ご自身のマンションの最適な選択が決まるわけではありません。費用を差し引いた手取りと、将来の使い方を整理することが大切です。
東京23区で高まる売却の比重
東京カンテイの調査では、2025年10~12月期の賃貸戸数は1万523戸、中古として売り出された戸数は1万9797戸でした。両者の合計に占める賃貸の割合は34.7%で、6年ぶりの低水準となっています。
中古マンションの平均希望売り出し価格は前期比6.86%上昇した一方、平均募集賃料の上昇率は0.05%でした。価格上昇を受け、売却益の確保を考える所有者が増えていると分析されています。
ここでいう価格は売り出し時の希望額であり、実際の成約価格とは異なります。また、東京23区の傾向を、そのまま全国のマンションに当てはめることはできません。
貸す場合は「家賃」より「年間の手残り」を確認
賃貸を選ぶ際は、想定家賃から、管理費・修繕積立金、固定資産税、賃貸管理の委託料、保険料などを差し引いて考えましょう。設備交換や退去後の補修、空室で家賃が入らない期間も見込む必要があります。
国税庁は、不動産所得を「総収入金額-必要経費」で計算すると説明しています。ただし、税務上の所得と実際の手元資金は別です。ローンが残っている場合は、返済額も含めて資金繰りを確認してください。
売る場合も、売却価格の全額が残るわけではない
売却では、仲介手数料などの諸費用やローン残債、売却に伴う税金を考慮し、最終的に残る金額を試算しましょう。
税金の計算に使う譲渡所得は、売却代金から取得費と譲渡費用を差し引いて求めます。建物の取得費は減価償却費相当額を差し引くため、単純な「売却価格-購入価格」とは一致しません。特例の適用も含め、税額は税理士などに確認すると安心です。
住宅ローンと、将来戻る予定も判断材料に
自宅を貸す場合、住宅ローンの契約条件も確認が必要です。例えばフラット35では、転勤などのやむを得ない事情で一時的に住めない場合、戻ることを前提とした賃貸が可能とされていますが、金融機関での手続きが必要です。借入先や商品によって条件が異なるため、募集前に相談しましょう。
住宅金融支援機構「返済中に融資住宅を賃貸にしてもいいですか」
将来また住む予定があるなら、その時期に合う賃貸契約についても確認が必要です。一方、戻る予定がなく、管理の負担を減らしたい場合は、売却を検討する理由になります。
売却査定と賃料査定をそろえて比較しよう
判断に迷ったら、売却価格と賃料の両方を査定してもらい、「売却後の手取り」と「数年間貸した場合の収支、その後に残る物件の価値」を比較しましょう。将来の売却価格は確定できないため、複数の想定で検討することが大切です。
「不動産売却王」では、Web上で所有する不動産の概算価格を確認できます。まず現在の価値を把握し、具体的な費用や賃貸条件を地域の不動産会社に相談することから始めてみてはいかがでしょうか。