首都圏の中古マンションで、修繕積立金の負担が増えています。提供情報によると、2025年度の修繕積立金は1平方メートルあたり217円となり、前年度から5.8%上昇しました。
背景にあるのが、建築・修繕工事費の上昇や、将来の大規模修繕に備えた積立金の見直しです。
マンションを所有している方にとって、修繕積立金は毎月の負担だけの問題ではありません。建物を適切に維持できる資金が確保されているかは、長期的なマンション管理を考えるうえで重要なポイントです。
なぜ修繕積立金は上がりやすい?
マンションの修繕積立金には、長期間にわたって同程度の金額を積み立てる「均等積立方式」と、当初の負担を抑えて一定期間ごとに引き上げる「段階増額積立方式」があります。
国土交通省は、将来にわたり安定して修繕積立金を確保する観点から、均等積立方式が望ましいとしています。一方、段階増額積立方式では、予定していた値上げについて区分所有者の合意を得られず、積立金不足につながるおそれが指摘されています。
国土交通省「マンション管理に関する各種ガイドライン等」
そこで国は2024年にガイドラインを改定し、段階増額積立方式について、均等積立方式の月額を基準とした場合、初期額を0.6倍以上、最終額を1.1倍以内とする考え方を示しました。
国土交通省「段階増額積立方式における適切な引上げの考え方」
工事費が変われば長期修繕計画も見直しが必要
もう一つ重要なのが「長期修繕計画」です。
外壁や屋上防水、給排水設備などは年月とともに劣化します。将来どのような工事が必要になり、いくらかかるのかを想定し、それに合わせて修繕積立金を準備するのが基本です。
ただし、将来の工事費を正確に予測することはできません。国土交通省も、物価や工事費などが変動することから、長期修繕計画を5年程度ごとに見直す必要があるとしています。
国土交通省「長期修繕計画はなぜ定期的な見直しが必要?」
つまり、修繕積立金の値上げそのものを問題視するのではなく、「必要な修繕に対して適切な金額なのか」「長期修繕計画に根拠があるのか」を確認することが大切です。
マンション売却でも「管理状況」は確認したいポイント
マンションを売却するときも、専有部分の広さや築年数、立地だけでなく、管理状況を整理しておきたいところです。
例えば、長期修繕計画が適切に見直されているか、修繕積立金は十分か、大規模修繕の予定はあるか、管理組合が適切に運営されているかなどです。
国の「管理計画認定制度」でも、長期修繕計画について30年以上の計画期間を確保することや、残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれること、修繕積立金が著しく低額ではないことなどが認定基準に含まれています。
国土交通省「マンション管理計画認定制度」
修繕積立金が安ければ、それだけで管理状態が良いとは限りません。将来必要になる修繕費を十分に準備できているかという視点も必要です。
値上げだけでなくマンション全体の管理を見る
修繕積立金の変更には区分所有者の合意形成が必要です。年齢、所得、今後の居住予定などが異なれば、毎月の負担に対する考え方が違うのも自然なことです。
だからこそ重要なのが、管理組合が長期修繕計画や資金状況について情報を共有し、将来必要な修繕について継続的に話し合える状態にあるかどうかです。
マンションを所有している方は、毎月支払っている金額だけを見るのではなく、総会資料や長期修繕計画にも目を通してみましょう。
売却を検討している場合も同様です。修繕積立金や管理状況を確認したうえで、周辺の取引状況、階数、向き、間取り、室内状態などを含めて現在の資産価値を確認することが大切です。
査定は、売却を決めてから行うものとは限りません。現在の価値を知っておけば、そのまま住み続けるのか、将来的に売却するのかを考える材料にもなります。
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