近年、都市部を中心に新築マンション価格の高騰が止まらず、「マイホームを買いたい」と考える人々にとってハードルがどんどん高くなっています。そんな中、国土交通省が打ち出したのが「築年数が経過していても、耐震性や断熱性能、維持管理の状態などが一定の水準を満たしている中古戸建ての流通を促進する取り組み」です。耐震や断熱、メンテナンス状況を適切に評価し、中古住宅の価値を見直そうという取り組みで、2026年度から本格的にスタートする予定です。
ここでは、この政策が示す現状の課題、地方都市への影響、そして今後の流れについて考えてみたいと思います。
現状の課題:築古住宅が「ほぼゼロ評価」される日本市場
日本の木造住宅は、築20~25年を過ぎると建物部分の価値が大きく下がり、実質的に「評価ゼロ」と見なされることが少なくありません。
これは、税法上で木造住宅の法定耐用年数が22年と定められていることが背景にあり、それを超えると帳簿上の資産価値がゼロになるため、不動産査定や金融機関の融資評価にも影響を及ぼします。
さらに、たとえ丁寧にメンテナンスを行っていたり、耐震補強や断熱改修などを実施していたとしても、現状の中古住宅市場ではそれらが十分に価格に反映されにくいという課題があります。
このため、築年数だけで実態よりも低く評価される住宅が多く、売却のハードルが高くなり、結果として放置されたり空き家化するケースが増えているのが現状です。
地方都市への影響:空き家対策と住宅流通の活性化
この仕組みが定着すれば、特に地方都市での住宅市場に大きなプラスの効果が期待できます。地方では新築需要が都市部ほど強くなく、築古戸建てが多く残されています。その中には、しっかりと手入れされている「住める家」も多いのに、価格がつかず放置されてしまうケースが少なくありません。
耐震・断熱改修などのリフォームがきちんと評価されることで、こうした住宅が改修内容に見合った価格で流通すれば、空き家の増加を防ぎ、移住希望者や若年層の「手が届く住宅選択肢」として活用される可能性があります。特に地方自治体が進める移住促進政策とも相性が良く、街の活性化にもつながるでしょう。
今後の流れ:新築志向から「性能重視」へ
日本人の住宅購入は長らく「新築志向」が強いと言われてきましたが、調査では「状態が良ければ中古でも構わない」と考える人が約3割を超えています。つまり「安心して暮らせる性能が担保されれば中古住宅も選択肢に入る」という意識の変化が見え始めているのです。
今後は、住宅履歴情報の普及やリフォーム履歴の透明化によって、新築・中古の区別ではなく、断熱性・耐震性などの住宅性能を重視して選ばれる市場へと変化していくと考えられます。
これにより、築古住宅の資産価値も「ゼロ」から「正当に評価されるもの」へと移行していくでしょう。
売却を検討している方へ
もし築年数の経った戸建てを所有していても、適切にメンテナンスやリフォームを行っていれば、これからの市場ではしっかりと評価される時代が来ます。たとえ築古住宅であっても、状態次第では資産価値が見直される可能性があるのです。
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