※ 2026.5.29 加筆・修正
隣の家の庭の木が自宅の敷地に侵入することで、被害を受けている方は少なくありません。
自分の敷地に侵入している部分は自身で処分しようと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、人の家の木を勝手に切ってはいけません。
今回は、隣家の庭木に困っている場合の対処法をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

隣家の庭の木の被害が原因で発生しやすいトラブルとは?
隣の家の庭木が原因となって発生するトラブルは、意外に多いです。
ここでは3つのケースについて解説します。
1つ目が、隣家の枝や葉・根っこが自宅の敷地内に侵入することによる被害例です。
樹木は枯れるまで成長し続けるので、植えた当時は小さくても、年月を重ねるにつれて大きくなっていきます。
そして、気付くと隣家の敷地内や近接道路まで伸びてしまう事態が頻発します。
成長して大幅に伸びている枝は、隣の家の建物の一部や駐車中の自動車を損傷してしまっている場合もあります。
また、枝葉が隣家に生い茂ることにより、隣家の日当たりを遮断してしまうことも考えられます。
さらに、枝や葉が道路の方向に伸びてくると、通行人の妨げになったり、視界を遮ることで交通が危険になったりする可能性もあります。

2つ目が、落ち葉によって起こる被害例です。
落葉樹の場合は、ある季節になると大量の落ち葉が毎年隣家に落ちることになります。
落ち葉は積み重なり、それらが雨にぬれると滑りやすくなって大変危険です。
また、葉っぱが溝にたまることで、溝が詰まってしまう可能性もあり、隣家からの落ち葉の掃除に追われてしまう方も少なからずいらっしゃいます。

3つ目が、虫が発生する例です。
樹木には虫が発生するケースも多いです。
木によって発生する虫の種類は違いますが、時には人や家に害を及ぼす虫が大量に発生し、トラブルになることもあります。
特に、隣地の木で繁殖した害虫が自宅の庭木に移動して被害を受けたり、虫が外で乾かしている洗濯物についたり、はたまた人が刺されてしまったりするなどの被害は甚大です。
人の家の木を勝手に切るのはNG!正しい対処方法とは?
敷地内に入ってきた枝葉を自分でさっさと処理したい」という気持ちになることもありますよね。
しかし、侵入してきた樹木であっても、あくまで隣家の所有物です。
まずは法律上の基本的な考え方を整理しておきましょう。
根と枝葉ではルールが異なります。根は越境してきた場合、所有者の許可なく切除することが認められています。
一方、枝については令和5年4月の民法改正により、一定の条件を満たす場合に限り、自ら切り取ることができるようになりました(詳細は次のセクションで解説します)。
条件を満たさないまま枝を勝手に切った場合は、損害賠償請求や器物損壊罪に問われるリスクがある点には注意が必要です。
まずは、枝の剪定を隣家の方に依頼するのが基本的な対処法です。所有者が状況を把握していないケースも多く、丁寧に事情を説明することで円満に解決できる場合も少なくありません。

令和5年4月の民法改正で、枝の扱いはどう変わった?
令和5年4月1日の民法改正前は、たとえ隣家の枝が自宅の敷地に侵入してきた場合でも、所有者の許可なく切ることは認められていませんでした。
しかし改正後は、以下のいずれかの条件を満たす場合に限り、越境された土地の所有者が自ら枝を切り取ることができるようになりました。
(1)枝を切除するよう催告したにもかかわらず、相当の期間(目安としておおむね2週間程度とされています)内に切除されないとき
(2)竹木の所有者を知ることができず、またはその所在を知ることができないとき
※所有者不明の判断には、住民票等の公的記録の確認や現地調査を実施してもなお不明であることが必要で、単に連絡が取れないだけでは不十分とされています。
(3)急迫の事情があるとき

話し合いで解決しない場合はどうする?
所有者は隣地の状況に関して無自覚だったという場合も多いです。
ご近所トラブルに発展したくないからと言わない方も多いのですが、被害が大きくなると解決がより難航する場合もあるため、あくまでも冷静に事情を説明しましょう。
それでも話し合いが進まない場合には、裁判所の調停制度を利用できます。
調停は裁判所を通して行う話し合いの一種であり、調停員が間に入ることで合意に向けた話をスムーズに進められます。
ただし、調停はあくまで話し合いなので、相手が応じなければ成立しません。
裁判所に呼び出しても隣人が出頭しないケースもあり、その場合は枝の対処もできません。
調停で解決できない場合には、枝の切除を求める訴訟を提起することになります。
勝訴判決が出れば、判決に基づき枝葉の切除が強制執行されます。
なお、裁判を進めるには、枝葉が敷地内に侵入している事実や被害の状況について被害側が立証する必要があります。
枝葉と被害の実態を鮮明な写真で記録しておくなど、日頃からの証拠保全が重要です。

所有者が不明な場合の対処法
近年は隣地の所有者が不明なケースも増えており、誰も住んでいない空き家の急増も社会問題となっています。
所有者と連絡が取れない場合はどのように対処すればよいのでしょうか。
まずは、法務局で対象の土地の不動産登記を取得することで、土地の所有者を確認できます。
ただし、登記上の所有者がすでに亡くなっていたり、所在不明で連絡がつかなかったりするケースも少なくありません。
相手の所在が把握できなければ調停も訴訟も困難です。
この場合は、家庭裁判所に不在者の財産管理人の選任を申し立て、裁判所から選ばれた財産管理人に枝葉の対処を求めることができます。
なお、所有者が判明しているケースでも、話し合いが進まない・連絡が取れないといった場合は、調停申立てや不在者財産管理人の選任申立てが有効な手段となります。

ご自身が隣家に迷惑をかけないためにできることをご紹介!

ここからは、ご自身が隣の家に迷惑をかけないためにできることを3つご紹介します。
「出来ていないかも」と感じる箇所があれば、意識して手入れしてみてくださいね。

1つ目が、枝の剪定・伐採です。
先ほどのご紹介の通り、隣の家との敷地の境界線付近に植えられた植物は、成長するにつれ隣家にはみ出してしまう可能性があります。
木の見た目を保つだけでなく、近所に迷惑をかけないためにも、こまめに枝を切ってメンテナンスをするのがおすすめです。

2つ目が、落ち葉の掃除です。
特に、秋は落ち葉が増える季節なので、気づかないうちに隣の敷地に落ち葉が大量に舞い込んでしまう場合もあります。
落ち葉が原因で、隣家の排水溝や雨どいを詰まらせてしまうことの無いように、こまめに掃除をしましょう。
3つ目が、害虫の予防です。
庭木が害虫の付きやすい種類だと、いつの間にか隣家にも迷惑をかけてしまう可能性があるので、殺虫剤などで事前に対策をするのも重要です。
また、庭木を放っておくと、枝が密集して風通しが悪化し、じめじめした環境を好む虫が集まりやすくなります。
そういった環境を防止するため、害虫予防の観点でも適度な剪定は必要になるでしょう。
まとめ

今回は、隣家の庭木が原因で起こりやすいトラブルの種類・正しい対処の手順・令和5年民法改正による変更点・ご自身が隣家に迷惑をかけないための日常的な心がけについてご紹介しました。
庭木トラブルは、放置するほど解決が難しくなる傾向があります。まずは冷静に隣人へ相談することが第一歩ですが、話し合いが困難な場合や所有者が不明な場合は、調停・訴訟・財産管理人の選任といった法的手段も選択肢に入ります。
法律の解釈や手続きは状況によって異なりますので、具体的な対応を検討される際は、弁護士や司法書士などの専門家へのご相談をお勧めします。













































































































