住宅価格が上昇し、40年、50年という長期の住宅ローンも登場しています。「定年後も返済を続けられるだろうか」と不安に感じる方もいるのではないでしょうか。
将来の返済負担に備える選択肢の一つが「残価設定型住宅ローン」です。ただし、返済額を軽減する時期や仕組みは商品によって異なります。月々の支払いだけでなく、将来の売却や相続まで含めて理解することが大切です。
JTI方式は、将来使える二つの選択肢を付ける仕組み
移住・住みかえ支援機構(JTI)の方式は、通常の住宅ローンに「返済額軽減」と「買取」の二つのオプションを付けるものです。借入当初から返済額が少なくなる仕組みではありません。
あらかじめ設定された「残価設定月」以降に返済額軽減オプションを使うと、死亡時に残債を一括返済するタイプのローンへ条件変更・借り換えができ、月々の負担を抑えられます。
一方、買取オプションは、その時点のローン残高と同額で土地・建物をJTIに買い取ってもらう仕組みです。どちらも利用は任意で、通常どおり完済することもできます。
利用できる住宅と、返済を軽減できる時期を確認
JTI方式では、認定された住宅事業者による認定長期優良住宅であることや、長期メンテナンスプログラムの実施などが条件です。長期優良住宅なら、どの家でも自動的に利用できるわけではありません。
また、残価設定月は借入額や期間、金利などで変わります。金利変動や繰上返済によって調整される場合もあるため、「定年になれば必ず返済を減らせる」と考えず、自分の契約条件を確認しましょう。
月々の返済軽減と、総負担の軽減は分けて考える
返済額が下がっても、残っている借入金がその場でなくなるわけではありません。利息や手数料、住宅の維持管理費に加え、最終的に住宅をどう処分して返済するかまで確認する必要があります。
国土交通省も、住宅金融支援機構の保険制度を活用する方式について、売却代金を含む総返済額が通常のローンより多くなる可能性に注意を促しています。
JTI方式で返済軽減後に家を子どもへ残したい場合も、残債の返済方法を家族と話し合っておきましょう。団体信用生命保険は原則として付保できず、金融機関によって例外がある点も確認が必要です。
国の保険制度を使う方式とは区別しよう
住宅金融支援機構は、金融機関向けに「特定残価設定ローン保険」を創設しています。これは利用者が直接加入する保険ではなく、金融機関によるローン提供を支える制度です。
通常の元利返済と、残価部分の利払いを組み合わせる仕組みで、JTIのオプション方式とは異なります。商品内容や販売開始時期は金融機関によって違うため、同じ「残価設定型」という名称だけで判断しないことが大切です。
住み替えでは、一般の売却価格とも比較を
JTIの買取オプションはローン返済の備えになりますが、買取代金は残債の返済に充てられるため、新居の購入資金が別途残る仕組みではありません。市場でより高く売れる場合には、オプションを使わず第三者へ売却する選択も可能です。
老後の住まいを考える際は、ローン残高と自宅の査定額を確認し、売却費用を差し引いた手取り額を把握しましょう。「不動産売却王」の無料査定も、住み続けるか、住み替えるかを比較する材料として活用できます。