日本銀行の増一行審議委員が2026年9月10日、福井市で開かれた金融経済懇談会で、今後も政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく必要があるとの考えを示しました。
現在の政策金利は1.0%程度です。増委員は、景気や物価を過熱も冷却もしない「中立金利」について最新の推計では1.1~2.5%と紹介し、さらなる利上げが金融政策の正常化には必要との認識を示しています。
では、金利がさらに上昇した場合、住宅ローンや不動産売却にはどのような影響が考えられるのでしょうか。
日銀はすでに政策金利を1.0%程度まで引き上げ
日本銀行は2026年6月の金融政策決定会合で、政策金利をそれまでの0.75%程度から1.0%程度へ引き上げました。
日本銀行「金融市場調節方針に関する公表文 2026年」
さらに7月の「展望レポート」でも、経済・物価・金融情勢に応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整する方針を示しています。
日本銀行「展望レポートのハイライト(2026年7月)」
ただし、今後いつ、どの程度の利上げが行われるかが決まっているわけではありません。日銀は経済・物価の見通しが実現する確度やリスクを確認しながら、タイミングやペースを判断するとしています。
日本銀行「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(増一行審議委員、2026年5月)
不動産所有者としても「金利は必ずここまで上がる」と予測するのではなく、金利が変化した場合に自分の住宅ローンや不動産にどの程度影響するのかを確認しておくことが重要です。
変動金利の住宅ローンは契約内容を確認しよう
特に確認しておきたいのが、変動金利型の住宅ローンを利用しているケースです。
住宅ローン金利は、日銀の政策金利とまったく同じ動きをするわけではありません。金融機関の金利設定やローンの商品性などによって影響は異なります。
そのため、政策金利が上がったからといって、すべての住宅ローンの毎月返済額が直ちに同じ割合で増えるわけではありません。
一方、変動金利の場合は将来的に適用金利が見直される可能性があります。住宅ローンを返済中の方は、現在の適用金利だけでなく、「金利がいつ見直されるのか」「返済額がどのような仕組みで変わるのか」を契約書や金融機関の案内で確認しておくとよいでしょう。
例えば、金利が上昇したケースを想定して毎月の返済額や家計への影響を試算しておけば、今後の選択肢を考えやすくなります。
金利上昇は「買い手側」にも関係する
不動産を売却する人にとって忘れてはいけないのが、住宅ローン金利は購入希望者にも影響するという点です。
住宅購入では「物件価格」だけでなく、借入額、金利、返済期間などによって毎月の返済負担が決まります。金利が上昇すれば、同じ金額を借りた場合でも一般的には利息負担が大きくなります。
そのため、金利環境の変化は購入希望者の予算や物件選びに影響し、結果として住宅市場の需給に影響する可能性があります。
ただし、「利上げ=不動産価格が下がる」と決めつけることもできません。不動産価格は地域の需要、人口・世帯動向、住宅供給、建築費、立地、物件の状態など多くの要因によって形成されます。
金利は、その中の重要な要素の一つと考えるのが適切でしょう。
売却を急ぐより、住宅ローン残高と現在価値を把握する
金利上昇が話題になると、「今のうちに自宅を売った方がよいのでは」と考える方もいるかもしれません。しかし、金利だけを理由に売却を急ぐ必要はありません。
まず確認したいのは、自分の住宅ローンと不動産の現在地です。
住宅ローンが残っているなら、現在の残高や適用金利、今後の金利見直し条件を確認します。そのうえで、不動産を売却した場合にどの程度の価格が見込めるのかを把握すれば、「そのまま住み続ける」「借り換えを検討する」「住み替える」「売却する」といった選択肢を比較しやすくなります。
不動産売却王の無料査定も、売却を決めた人だけが利用するものではありません。
金利環境が変化するなかで、自宅や所有不動産の現在の価値を確認し、住宅ローン残高と比較することは、今後の資産計画を考える一つの材料になります。
日銀の政策だけで売却時期を判断するのではなく、「金利」「住宅ローン残高」「現在の不動産価値」の3つを確認し、自分に合った選択肢を考えていきましょう。
・日本銀行「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(増一行審議委員、2026年5月)
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2026/ko260514a.htm
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