住宅ローンの返済期間が急速に長期化しています。かつては「35年が上限」という認識が一般的でしたが、いまや50年返済の商品も珍しくなくなってきました。地方都市でも住宅価格の上昇は続いており、この流れは決して都市部だけの話ではありません。
返済36年以上が全国で3割超に
民間の調査によると、2026年4月時点で住宅ローンの返済期間が36年以上を選ぶ契約者の割合は全国ベースで約31%に達しています。首都圏の新築マンション購入者に限ると、2025年時点で32.6%が36年以上を選択。わずか1年前(11.6%)と比べ、約2.8倍に急増しています。
こうした流れを受け、金融機関側でも対応が進んでいます。住宅金融支援機構の調査(2025年6月時点)では、回答した金融機関の57.5%が変動型で最長50年の商品を用意していたことが確認されており、その比率は1年で約24ポイント上昇しました。なお、住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して提供するフラット50(最長50年)は長期優良住宅など質の高い住宅が対象となっており、利用には一定の条件があります。
地方都市も例外ではない
「超長期返済は都市部の高額物件の話」と思われるかもしれませんが、地方都市も例外ではありません。ある調査では、三大都市圏以外の地域で特に36年以上を選ぶ比率が高い傾向があることも示されています。収入水準が相対的に低い一方で、資材高や人手不足による住宅価格の上昇が続いているためです。
たとえば岡山市では、2026年公示地価で住宅地が前年比+1.91%の上昇を記録。建設コストの上昇が中古住宅・土地の価格にも波及しており、県内のマンション価格は過去9年で40%超上昇したとのデータもあります。こうした価格上昇は全国の地方都市で広く見られる現象であり、「35年以内の返済で手が届く物件がない」という感覚は、都市部に限らず各地で広がりつつあります。
超長期返済に潜むリスク
月々の返済を抑えられるという点では、超長期返済は確かに魅力的に映ります。ただし、いくつかの重大なリスクも伴います。
まず、返済当初は元本がほとんど減らないという点です。万が一、急病や失業で返済が困難になった際に住宅を売却しても、物件の価値が下がっていれば残債が売却額を上回る「オーバーローン」に陥る恐れがあります。また、返済期間が長い分、金利変動リスクにさらされる期間も延びます。現在は変動型金利が上昇傾向にあり、将来の負担増は想定に入れておく必要があります。
さらに、20代で50年返済を選べば、完済時期は70代以降になります。年金生活に入った後もローンが続く可能性があり、教育費や老後資金の準備と両立できるかどうか、長いスパンでのライフプランが不可欠です。
超長期返済を選ぶ前に確認したいこと
専門家からは「立地や築年数・広さなどで条件を見直し、35年以内で手が届く物件は本当にないか検討してほしい」という声が上がっています。頭金を入れて借入額を減らす、ペアローンを活用するなど、超長期返済以外の選択肢も含めて比較することが大切です。
すでに超長期返済で契約済みの場合は、就労収入が十分にある間に繰り上げ返済を計画的に進めることが、家計リスクを下げる有効な手段となります。
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