「自宅や相続した土地が自衛隊の施設に近いけれど、売却の手続きは変わるのだろうか」。そんな疑問につながる法改正の動きが出ています。
政府は2026年10月23日、安全保障上重要な土地・建物の取得に許可制を導入する、重要土地等調査法の改正案を閣議決定しました。現時点では法案の段階です。 今回の報道内容と現行制度を分けて、所有者が確認しておきたいポイントを整理します。
■ livedoor News「安全保障上重要な土地」取得に国の事前審査・許可制導入、法改正案を閣議決定
改正案は日本人同士の売買にも関係する
報道によると、改正案では自衛隊施設周辺などに「規制区域」を指定し、区域内の不動産取得について、国籍を問わず国の許可を必要とする仕組みを設けます。
外国政府などの支配下にある企業等による取得は原則として認めず、無許可の取引では売主・買主の双方を罰則の対象とする内容です。
つまり、「買主が日本人なら関係ない」とは限りません。ただし、施行時期や審査期間、具体的な適用条件は今後の確認が必要です。所有する不動産への影響は、今後公表される制度の詳細や区域指定を確認して判断しましょう。現行制度の「注視区域」「特別注視区域」と、改正案で示された「規制区域」は区別して確認する必要があります。
現行制度でも、売主・買主双方の届出が必要な場合がある
現在の制度では、「特別注視区域」内にある一定面積以上の土地・建物について、売買などの契約締結前に届出が必要です。売主だけ、買主だけではなく、双方が手続きを行います。
■ 内閣府 重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律
内閣府の説明では、対象面積は200平方メートル以上。土地は1筆ごと、建物は1個ごとの延べ床面積で判断します。マンションは専有部分の床面積が基準になります。また、「注視区域」にあることだけでは、この売買等の届出対象にはなりません。
現行制度の面積要件を、そのまま改正案の許可制にも当てはめることはできません。新旧の手続きを区別して確認することが大切です。
売却前は区域・面積・契約日程を確認しよう
まずは、内閣府の「重要土地ウェブ地図」や区域一覧で、所有する不動産が指定区域に含まれるかを確認しましょう。ウェブ地図へのリンクは、内閣府の届出案内ページに掲載されています。
売却を相談する際には、登記事項証明書などで所在地や面積を整理し、不動産会社に区域指定の確認を依頼すると進めやすくなります。
特に注意したいのは、現行の届出が原則として契約締結前に必要な点です。引き渡し直前に確認するのではなく、売買契約の日程を決める段階で手続きを整理しておきましょう。
許可制が導入された場合は、売却日程にも注意
改正案どおり許可制が導入されれば、審査を踏まえた契約・決済日程の調整が必要になると考えられます。住み替え先の購入や住宅ローンの完済を予定している方は、手続きに必要な期間も含めて相談することが重要です。
一方、今回の報道だけを理由に「売れなくなる」「価格が下がる」と判断する必要はありません。所有不動産の区域指定、適用される制度、買主の条件などを確認し、売却・保有の判断材料をそろえましょう。
※本記事は2026年10月24日時点の報道と内閣府の現行制度案内に基づきます。改正案の内容は、国会審議などで変更される可能性があります。