「うちは変動金利で借りてるけど、このまま大丈夫かな……」
そんなモヤモヤを感じている方、実は今とても多いと思います。
日本銀行はここ数年、段階的に政策金利を引き上げてきました。直近では2025年12月に0.75%へと引き上げ、2026年4月の会合でもこの水準を維持することを決定しています。ただ「据え置き=終わり」ではなく、市場では今後もさらなる利上げが続くという見方が主流です。
住宅ローンを抱えている方にとって、これは決して他人事ではありません。
日本の住宅ローン、実は8割近くが「変動型」
住宅金融支援機構の調査によると、住宅ローンを借りている人のうち変動型を選んでいる割合は約8割にのぼります。長く続いた超低金利時代に「どうせ上がらないでしょ」という感覚で変動型を選んだ方も多いのではないでしょうか。
でも今は、その前提が変わりつつあります。
変動金利は日銀の政策金利と連動しています。政策金利が上がれば、銀行が住宅ローンの基準金利を決める際に参考にする「短期プライムレート」も上がり、やがて毎月の返済額にも影響が出てきます。
「じわじわ増える」がこわい理由
変動金利ローンには「5年ルール」「125%ルール」という仕組みがあります。簡単に言うと、金利が上がっても返済額の変更は5年ごと、しかも一度に1.25倍を超えない、というものです。一見安心に見えますが、裏を返すと「支払いが増えていないように見えても、利息の割合が増えていて元金がなかなか減らない」という状況が起きやすくなります。
毎月の返済額は変わっていないのに、ローン残高がなかなか減らない。そんな事態が、今後現実になるリスクがあるのです。
地方都市では、さらに注意が必要な理由
「金利の影響は都市部の話でしょ?」と思う方もいるかもしれませんが、むしろ地方こそ注意が必要です。
例えば岡山県では、2026年の公示地価は県全体の平均こそプラスで3年連続の上昇が続いていますが、その内訳には大きな差があります。県南の利便性が高いエリアは堅調な一方、郊外や県北の一部では下落傾向も見られ、「地価の二極化」が指摘されています。こうした傾向は、岡山に限らず多くの地方都市に共通する構図です。
さらに気になるのが空き家の増加です。岡山県の空き家率は全国平均を上回る水準にあり、同様の状況は全国の地方都市でも広がっています。空き家が増えるということは、それだけ売りに出る物件も増えるということ。供給が増えて需要が追いつかないエリアでは、じわじわと売りにくくなるリスクがあります。
地方では給与の伸びが都市部ほど大きくないケースも多く、金利負担の増加を収入増でカバーしにくいという事情も重なります。専門家の間でも「長期的には緩やかな下落傾向を前提に考えるのが賢明」という見方が出ています。
「売りたいと思ったときに、ちゃんと売れるか」——今のうちに考えておく価値は十分にあります。
賃上げで「相殺できる」は本当か?
「金利が上がっても、賃金も上がっているから大丈夫」という声もあります。たしかに2024年・2025年と、大企業を中心に賃上げの流れは続いています。日銀もその点を金融政策の判断材料のひとつとしています。
例えば岡山県では、最低賃金が2025年12月から時給1,047円となり、前年から65円(約6.6%)引き上げられました。5年連続の引き上げで、引き上げ幅としては過去最高水準です。数字だけ見ると、賃上げの流れは確かに来ています。
ただ、最低賃金の引き上げと、実際の給与水準の上昇は別の話です。日本商工会議所の2025年調査によると、中小企業で賃上げを実施した割合は約7割ですが、従業員20人以下の小規模企業では約6割にとどまり、前年より実施率が下がっています。地方の中小企業や非正規雇用の方にとっては、賃上げの恩恵が十分に届いていないケースも少なくないのが実態です。
住宅ローンの返済は、自分の収入環境に関係なく毎月やってきます。「全国的に賃金が上がっている」というニュースが、自分の家計にそのまま当てはまるとは限らない点は、冷静に見ておく必要があります。
「まだ様子を見よう」が続くと、どうなる?
利上げはこれで終わりではない、というのが多くの専門家の見方です。政策金利がさらに上昇していくと、変動金利型のローンを抱えている世帯の返済負担は、今後数年をかけて段階的に重くなっていく可能性があります。
とくに若い世代は、ローン残高が多く残っている分、影響を受けやすい立場です。また、40〜50年という超長期のローンを組んでいる場合は、金利環境の変化を長期にわたって受け続けることになります。
「今は返せているから大丈夫」という状態が、5年後・10年後も続くかどうか。一度立ち止まって考えてみることが大切です。
「売る」という選択肢を、今のうちに検討する価値がある
金利が上がり続ける環境では、不動産を保有するコストも上がります。一方で、不動産の売却価格は需給のバランスで決まるため、需要が落ちてきてから動いても遅い、ということもあります。
「いつかは売ろうと思っている」という方は、「今の自分の物件がいくらで売れるのか」を知っておくだけでも、判断の幅が広がります。売ると決める必要はありません。ただ、選択肢として持っておくことには大きな意味があります。
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