マンションの建築コスト上昇が続いています。
建設物価調査会が公表した2026年8月の東京地区の建築費指数(2015年=100)では、鉄筋コンクリート造の集合住宅が146.7となり、前月から0.2%上昇しました。
建設物価調査会「建築費指数(2015年基準)」
マンションを所有している方にとって気になるのは、「建築費が上がると、自分のマンションの価値にも影響するのか」という点ではないでしょうか。
建築費は新築マンションの供給価格を考える重要な要素ですが、中古マンションの価格が建築費だけで決まるわけではありません。所有者としては、複数の市場データを組み合わせて考えることが大切です。
マンションだけでなく建築コスト全体が上昇
2026年8月の東京地区の建築費指数は、鉄筋コンクリート造の集合住宅が146.7、鉄骨造の事務所が145.6、同じく鉄骨造の工場が144.1で、いずれも前月比0.2%上昇しました。
建設物価調査会によると、この指数は工事費や資材価格、労務費などを再構成し、建築費の変動を時系列で把握できるようにしたものです。
さらに同調査会の「建設資材物価指数」を見ると、2026年8月の東京地区の建築部門は150.2で、前月比0.7%、前年同月比5.8%の上昇となっています。
建設物価調査会「建設資材物価指数」
今回の建築費上昇は、マンションだけに限った現象ではなく、建設資材などを含む建築コスト全体の動きとして捉える必要があります。
建築費上昇は中古マンションにも関係する?
新築マンションを建設するためのコストが上昇すれば、事業者にとっては販売価格を設定する際の負担要因になります。
その結果、新築価格と中古価格の差を意識する購入者が増えるなど、中古マンション市場に間接的な影響が及ぶ可能性があります。
ただし、「建築費が上がった=中古マンションも値上がりする」という関係ではありません。
中古マンションの価格は、立地、築年数、専有面積、管理状態、修繕計画、駅からの距離、周辺の売出物件や成約事例など、さまざまな条件によって変わります。
建築費は、あくまでマンション市場を考える材料の一つとして見るのが適切でしょう。
住宅市場は建築費だけで判断しないことが大切
国土交通省によると、2026年7月の新設住宅着工戸数は前年同月比8.2%増加しました。一方、季節調整済みの年率換算値では前月比1.6%減少しています。
国土交通省「建築着工統計調査報告(令和8年7月分)」
つまり、去年の7月と比べると住宅着工は増えているものの、直近の動きを見ると、6月より着工の勢いはやや弱まっているということです。
また、1年間の動きを見ると、2025年度(2025年4月~2026年3月)の新設住宅着工戸数は、2024年度(2024年4月~2025年3月)と比べて減少しました。持家・貸家・分譲住宅のいずれも減少しており、2026年7月だけの数字とは異なる動きが見えてきます。
国土交通省「建築着工統計調査報告(令和7年度計分)」
このように住宅市場は、どの期間を見るかによって数字の見え方が変わります。建築費が上昇しているからといって、住宅の供給や不動産価格も同じように上昇するとは限りません。
マンション市場を考える際には、建築費だけでなく、新築住宅の供給状況、住宅ローン金利、購入需要など、複数の動きを合わせて見ることが大切です。
所有マンションの「現在価値」を確認してみる
建築費の上昇が続く局面では、新築マンションを取り巻く環境だけでなく、中古マンション市場がどう変化しているかにも目を向けておきたいところです。
特に長くマンションを所有している場合、購入時と現在では周辺の取引価格や住宅市場の環境が大きく変わっている可能性があります。
だからといって、建築費が最高値になったことだけを理由に売却を急ぐ必要はありません。
まずは周辺の成約事例や現在の査定価格を確認し、「今売るとどの程度なのか」を把握しておく方法があります。現在の資産価値が分かれば、そのまま保有するのか、住み替えるのか、売却するのかを比較するための判断材料になります。
不動産の無料査定は、売却を決めてから利用するだけのものではありません。建築費や住宅市場が変化している時期だからこそ、自分のマンションの現在地を確認する機会として活用してみてはいかがでしょうか。
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