人口減少と東京一極集中が住まいに与えている影響
いま、『住む場所は一つ』という常識が、じわじわと揺らいできています。
東京をはじめとした大都市には人や仕事が集中し続けている一方で、住環境のゆとりや、ゆっくり過ごせる時間はどんどん失われています。リモートワークの普及もあって、「都市だけで暮らすことへの疑問」を感じている人は、じわじわと増えています。
一方の地方はどうかというと、人の流れが少なく、空き家は増える一方です。総務省の令和5年住宅・土地統計調査によると、全国の空き家数は900万戸、空き家率は13.8%と過去最高を記録しました。これは1993年時点の約2倍にあたる数字です。
「二地域居住」という新しい流れ
こうした状況の中で、いま注目されているのが「二地域居住」というライフスタイルです。都市に仕事や生活の拠点を置きながら、地方にももう一つの拠点を持つ、という暮らし方です。
完全な移住とは違い、行き来しながら両方の良さを享受できるのが特徴で、リモートワークの普及を契機に、自然の多い環境を求める若者や子育て世帯の二地域居住ニーズが高まっています。
国もこの動きを後押しする姿勢を明確にしており、2024年には関連法が施行され、市町村が主体で二地域居住の促進計画を策定できるようになりました。地方創生の新しい柱として、制度面でも整備が進んでいます。
地方の不動産に何が起きるのか
二地域居住が広がるということは、これまで「需要がない」と思われていた地方の物件に、新たな人の目が向き始めるということでもあります。
自転車、釣り、創作活動など、それぞれの趣味や目的に合わせて地域の魅力を楽しみながら「暮らすように滞在する」人が増えれば、宿泊・飲食・交通といった消費も生まれ、地域経済にも循環が生まれていきます。
ただ、現時点での課題もあります。地方の空き家の多くは、設備の老朽化や断熱性の低さ、維持管理の手間といった問題を抱えており、都市生活者がすぐに「住みたい」と思える状態にあるとは限りません。需要が生まれつつある今だからこそ、物件のコンディションが価値を大きく左右する局面に入ってきています。
「いつか売ろう」が「今のうちに」に変わる理由
地方の不動産を所有されている方の中には、「いつかどうにかしなければ」と思いながら、なかなか動けていない方も少なくないと思います。
ただ、状況は変わってきています。空き家の取得経緯の55%は相続で、所有者の約3割は車や電車で1時間超の遠隔地に居住しています。離れた場所にある物件を管理し続けることには、時間的にも金銭的にも限界があります。
一方で、二地域居住の需要が制度面でも後押しされている今は、地方物件への関心が高まりやすいタイミングでもあります。需要が育ちつつある今のうちに動き出すことが、選択肢を広げることにつながるかもしれません。
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