
マイホームは人生における大きな買い物です。
住宅ローンを組む際、様々な選択肢があり、その一つに「オーバーローン」があります。
オーバーローンとは、住宅ローンの借入額が物件価格を上回る状態のことですが、その実態やリスクについて、十分に理解している方は少ないのではないでしょうか。
今回は、オーバーローンについて解説し、住宅購入におけるリスク管理について考えていきます。
オーバーローンとは何か
オーバーローンの定義と状態

オーバーローンとは、住宅ローンの借入額(残債)が物件の価値を上回る状態のことです。
これは、当初からオーバーローンでローンを組むケースと、当初はオーバーローンではなかったものの、物件価格の下落などで後にオーバーローン状態になるケースがあります。
後者のケースは、返済中の方にも起こりうるため注意が必要です。
オーバーローンとフルローン・アンダーローンの違い

フルローンは、頭金ゼロで物件価格の100%を住宅ローンでまかなう状態です。
一方、オーバーローンは、フルローンに加え、仲介手数料や登記費用などの諸費用もローンに含めて借り入れる状態です。
アンダーローンは、これとは逆に、借入額が物件価格を下回る状態です。
オーバーローンになる主なパターン2選

・ローン金額が住宅価格を上回るパターン:物件価格に加え、諸費用(仲介手数料、融資手数料、火災保険料など)を含めて借り入れることで、当初からオーバーローン状態になるケースです。
・住宅や土地が値下がりし、結果としてオーバーローンになるパターン:当初はオーバーローンではなかったものの、時間の経過とともに物件の資産価値がローン残高よりも低くなった場合にオーバーローン状態になるケースです。
特に、建物価格の割合が高い物件は、資産価値の下落が早く、オーバーローンになりやすい傾向があります。
オーバーローン状態の確認方法

オーバーローン状態かどうかを確認するには、物件の現在の市場価格を不動産会社などに査定してもらい、その価格と住宅ローンの残高を比較します。
市場価格がローン残高よりも低ければ、オーバーローン状態です。
オーバーローンと住宅購入のリスク管理
オーバーローンのメリット・デメリット

メリットとしては、自己資金が少なくても住宅購入が可能になること、手元に資金を残せること、住宅ローン控除額が増える可能性があることなどが挙げられます。
デメリットとしては、毎月の返済負担が大きくなること、金利が高くなる可能性があること、売却時にローン残債が残る可能性があることなどが挙げられます。
オーバーローンによる売却困難性と解決策

オーバーローン状態では、物件を売却してもローン残債を完済できない可能性があります。
その場合、残債を自己資金で完済するか、任意売却という方法を検討することになります。
任意売却とは、金融機関の同意を得て、市場価格に近い金額で物件を売却する方法です。
競売に比べて高い価格で売却できる可能性があり、債務者にとって負担が軽減される場合があります。
ただし、手続きが複雑であり、金融機関との交渉や専門的な対応が必要です。
任意売却を検討する際は、不動産会社や弁護士などの専門家に必ず相談してください。最終的な判断や手続きは、専門家のサポートを受けながら進めることが重要です。
返済困難になった場合の対処法

返済が困難になった場合は、すぐに金融機関に相談することが重要です。
返済期間の延長や返済額の減額などの交渉を試みることも可能です。
相談が遅れると、任意売却や競売といった事態に陥る可能性が高まります。
離婚時の財産分与におけるオーバーローンの影響

離婚時にオーバーローン状態の住宅を財産分与する場合、住宅の価値がローン残高よりも低いことから、処理が複雑になります。
住宅の居住権やローン返済の責任分担について、夫婦間で明確な合意を形成する必要があります。
また、住宅を売却してもローンが残る場合は、どちらがどのように返済していくかについても話し合うことが求められます。
こうした財産分与に関する問題については、必ず弁護士などの専門家に相談し、公正証書を作成するなどしてトラブルを未然に防ぎましょう。
オーバーローンを防ぐための資金計画の重要性

オーバーローンを防ぐには、購入前に慎重な資金計画を立てることが不可欠です。
物件価格だけでなく、仲介手数料や登記費用、リフォーム費用などの諸費用も含めたトータルコストを把握し、無理のないローン計画を立てましょう。
具体的には、物件価格の1〜2割程度の頭金を用意し、諸費用分は自己資金から支払うことを目指すと安心です。また、購入前に周辺地域の将来的な資産価値の動向も調べておきましょう。
金利や返済期間の見直しと金融機関への相談

金利や返済期間の見直しは、金融機関に相談することで実現できる可能性があります。
返済が困難になった場合でも、早期に相談することで、より良い解決策が見つかる可能性が高まります。
まとめ

オーバーローンは、住宅ローンを組む際の選択肢の一つですが、リスクも伴います。
当初からオーバーローン状態になるケースだけでなく、物件価格の下落などによって、後にオーバーローン状態になるケースもあるため注意が必要です。
返済が困難になった場合や、売却が必要になった場合の対策についても事前に理解しておくことが重要です。
資金計画を綿密に立て、必要に応じて専門家(ファイナンシャルプランナーなど)に相談することが、オーバーローンによるリスクを軽減する上で有効です。
また、金融機関との良好な関係を維持することも、問題発生時の対応をスムーズにする上で重要です。
早期に問題点に気づき、適切な対応をすることで、マイホーム生活を守ることができます。