「親が施設に入ったら、実家を売って介護費用に充てたい」。そう考えていても、親の判断能力が低下してからでは、家族だけで手続きを進められないことがあります。成年後見制度の改正をきっかけに、自宅や実家の将来について、本人の希望を確認しておきましょう。
成年後見は「必要な支援を選ぶ制度」へ
成年後見制度を見直す改正法は、2026年6月17日に成立し、同月24日に公布されました。法務省によると、成年後見に関する改正の施行日は、公布から2年6か月以内の政令で定める日です。報道では2028年の変更が紹介されていますが、施行前の手続きには現行制度が適用されます。
改正では「後見」「保佐」「補助」を補助の制度に一元化し、本人に必要な範囲で支援する仕組みに変わります。判断能力が回復していなくても、家庭裁判所が利用の必要性がなくなったと認めれば終了できるなど、本人の意思や状況に合わせた利用を目指しています。家族の判断だけで自由に終了できるという意味ではありません。
実家を売るときは、家族であっても手続きが必要
親名義の不動産は、子どもというだけで代わりに売却できるものではありません。本人の意思確認や、代理するための権限が必要です。
現行制度では、成年後見人などが本人の居住用不動産を処分する場合、家庭裁判所の許可が必要です。対象は現在住んでいる家だけではなく、施設に入る前に住んでいた家なども含まれます。売却のほか、賃貸や取り壊しも対象となり、許可を得ずに行った処分は無効になります。
「空き家になったから自由に売れる」とは限りません。介護費用の確保などで売却を考える際は、契約を進める前に、司法書士や弁護士へ必要な手続きを確認しましょう。
任意後見は、任せる相手と範囲を先に決められる
任意後見は、本人が契約内容を理解できるうちに、将来支援してもらう相手と、その人に任せる事務を公正証書で決めておく制度です。日本公証人連合会は、不動産の管理・処分なども代理権の内容として示しています。
不動産を所有する方にとっては、「自宅をできるだけ維持したい」「施設入居後は売却も検討したい」といった希望を、元気なうちに整理できる点が役立ちます。
ただし、任意後見契約を結べば、希望する売却が何でもできるわけではありません。売却や賃貸に必要な代理権を契約にどう定めるか、本人の生活や利益をどう守るかまで、公証人や専門家と相談することが大切です。
制度改正を待たず、住まいの希望を共有しよう
任意後見がすべての家庭に最適とは限りません。支援を任せられる人がいるか、どのような財産管理が必要かによって、適した備えは変わります。
まずは不動産の名義、ローン残高、維持費を整理し、本人が住み続けたいのか、将来は売却や賃貸も考えているのかを話し合ってみましょう。
現在の価格を知ることも、介護費用や住み替えの計画を考える材料になります。不動産売却王の無料査定も活用しながら、売却を急ぐのではなく、本人の希望に沿って選べる準備を進めておきたいところです。