マンションは築年数が古くなれば、必ず価値を失うのでしょうか。実際には、同じ築年数でも管理状況によって建物の状態や住みやすさには大きな差が生まれます。
福岡市では、1973年竣工の約130戸のマンションで管理組合が機能不全となり、共用部分の電気や給水が止まるなどして住民が退去。長期間にわたって建物が荒廃した事例がありました。
一方、名古屋市の築50年を超えるマンションでは、住民が管理組合を立ち上げ、長期修繕計画を作成して外壁や手すり、耐震性能などを改善。築古でも再生できる可能性を示しています。
築40年以上のマンションは20年後に約483万戸へ
こうした問題は一部の古いマンションだけの話ではありません。
国土交通省によると、築40年以上の分譲マンションは2024年末時点で約148万戸。2034年末には約293万戸、2044年末には約483万戸に増えると推計されています。
国土交通省「マンション関係法令」等
今後は中古マンションを売却・購入するときにも、単純な「築○年」という数字だけではなく、どのように管理されてきたかを見ることがより重要になりそうです。
修繕積立金だけでなく「長期修繕計画」を確認
マンションの状態を判断する材料の一つが長期修繕計画です。
国土交通省は、適時適切な大規模修繕を行うには修繕積立金を安定的に確保することが重要としており、長期修繕計画についても、物価や工事費などの変化を踏まえて5年程度ごとに見直すことを推奨しています。
国土交通省「マンション管理」長期修繕計画・修繕積立金
所有するマンションについて確認するなら、修繕積立金の残高だけでなく、長期修繕計画の有無や更新時期、大規模修繕の履歴、今後予定されている工事などもチェックしたいところです。
国土交通省「マンション管理・再生ポータルサイト」
「管理計画認定制度」で管理状況を見える化
2022年度には「マンション管理計画認定制度」も始まりました。
国土交通省「マンション管理計画認定制度」
一定の基準を満たしたマンションの管理計画を地方公共団体が認定する制度で、認定基準には、年1回以上の総会開催、管理費と修繕積立金の区分経理、30年以上の長期修繕計画などが含まれています。
認定マンションについては、住宅金融支援機構の「フラット35」やマンション共用部分リフォーム融資の金利引き下げなども用意されています。
認定されているから価格が高くなると一概にはいえませんが、管理状況を購入希望者が判断するための一つの材料になります。
2026年4月からマンションの意思決定ルールも変更
管理組合の意思決定を進めやすくする法整備も進んでいます。
2026年4月施行の改正区分所有法では、総会決議の多数決要件などが見直されました。また、必要な調査をしても所在が分からない区分所有者について、裁判所の決定を得ることで決議の母数から除外できる制度も設けられています。
国土交通省「マンション標準管理規約」の改正等
所有者の高齢化や相続などによって意思決定が難しくなるマンションが増えるなか、建物だけでなく「管理組合がきちんと意思決定できる状態か」も重要です。
築年数だけでマンションの価値を判断しない
マンションの価格は、立地、専有面積、間取り、需給、市況など多くの要素で決まるため、「管理が良ければ必ず高く売れる」とは限りません。
ただ、外壁や設備の修繕が適切に行われ、必要な資金が準備され、管理組合が機能しているかどうかは、長く所有するうえでも売却を考えるうえでも無視できないポイントです。
築年数が進んだマンションを所有している場合は、「古いから売る」と決める前に、管理状況や修繕計画、周辺の中古マンション相場などを整理してみましょう。
現在の資産価値を査定で確認することも、売却を決めるためだけではなく、今後も保有するのか、売却するのかを考えるための判断材料になります。
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