税制改正による基礎控除引き下げの影響
相続は誰にでも起こりうる身近な出来事ですが、一定以上の財産がある場合には相続税が課されます。国税庁の統計によると、相続税が課税された割合は近年1割を超える水準まで上昇しています。背景にあるのは、2015年の税制改正による基礎控除の引き下げです。
現在の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」。この控除額を超えた部分に対して相続税がかかります。都市部では不動産価格の上昇もあり、「自宅が主な財産」というご家庭でも課税対象になるケースが増えています。
相続税評価額の仕組みと見直しの影響
相続税は売買価格(時価)ではなく「相続税評価額」に基づいて計算されます。土地は路線価、建物は固定資産税評価額が基準です。一般的に自宅不動産は市場価格より低めに評価されることが多いとされますが、その差は立地や物件条件によって異なります。
区分所有マンションの場合は計算がさらに複雑です。敷地全体に対する持ち分割合を使って土地部分を算出し、築年数や階数などを踏まえた補正も行われます。2024年からは、いわゆる「タワーマンション節税」と指摘されてきた評価差に対応するため、乖離率に基づく補正制度も導入されました。
評価方法が見直されているということは、不動産の持ち方によって税負担が変わる可能性があるということでもあります。
相続税納付に備える資金確保の課題
相続税は原則として現金納付です。財産の多くを不動産が占める場合、納税資金をどう確保するかが課題になります。相続財産の構成比を見ると、土地・家屋が一定の割合を占めている年も多く、不動産中心の資産構成は珍しくありません。
不動産は分割が難しく、共有名義になると将来的な管理や売却判断が複雑になります。さらに「遺留分」の制度により、法定相続人は最低限の取り分を請求する権利を持ちます。2019年の民法改正により金銭請求が可能になりましたが、それでも資金準備がなければ不動産の処分を検討せざるを得ない場合もあります。
二次相続で増える税負担の注意点
配偶者には「1億6,000万円または法定相続分まで非課税」という大きな税額軽減制度があります。そのため、一次相続では税負担が抑えられるケースも少なくありません。
しかし、その後の二次相続では配偶者控除が使えなくなり、基礎控除も減少します。結果として、想定以上の税負担が生じることもあります。特に不動産価格が上昇しているエリアでは、評価額の上昇が税額に直結する可能性があります。
住宅価格上昇が周辺都市に広がる動き
首都圏を中心とした住宅価格上昇は広がりを見せています。価格上昇が続くと、相対的に取得しやすい価格帯の都市にも資金が流れる傾向があります。新幹線停車駅のある都市や再開発が進むエリアでは、実需・投資双方の関心が高まりやすい状況です。
不動産価格が緩やかに上昇する局面では、売却環境が整いやすくなります。一方で、金利や経済情勢の変化によって市場が調整局面に入る可能性もあります。
いま考えたい不動産価値の確認
相続税の課税割合上昇、不動産評価ルールの見直し、価格動向の変化。こうした複数の要素が重なる今は、ご自身の不動産価値を一度把握しておくタイミングとも言えます。
・将来の納税資金対策
・共有回避のための事前整理
・二次相続を見据えた資産組み換え
売却するかどうかはすぐに決めなくても構いません。ただ、価格を知っているかどうかで選択肢は大きく変わります。
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