これは不動産にまつわるミニドラマです。
難しいイメージのある不動産のニュースや法律・知識を物語形式にすることにより、分かりやすく伝える試みです。
※ 本ドラマは実際の法律や記事に基づいて作成していますが、時期や地域および状況によっては内容が異なる可能性もございます。御注意ならびに御了承くだいますようお願い致します。
※ 本ドラマで出てくる登場人物、団体等は全てフィクションです。
土地を所有していると、隣地との境界線に関わる問題に直面することがあります。その中でも、隣の土地の竹や木の枝が自分の敷地にまで伸びてくることは、よくある問題です。「この枝、どうにかしてほしい」と思ったことがある方も多いでしょう。この記事では、境界を越えた竹木の枝や根について、法的にどのように対処できるのかを考えてみましょう。
隣地から伸びてくる竹の枝
田中さんの家には美しい庭が広がっており、週末のたびに庭の手入れをするのが趣味でした。しかし、最近気になることが一つ。それは、隣の佐藤さんの土地から伸びてきた竹の枝が、田中さんの敷地に侵入してきていることでした。
「この竹の枝、どうにかならないかな?自分の庭にまで入り込んできているし、手入れの邪魔になるんだよな…」田中さんは悩み始めます。
竹木の枝が境界を越えた時の法的対応
田中さんはまず、隣の佐藤さんに相談しました。「佐藤さん、すみませんが、竹の枝が私の庭まで伸びてきているので、切ってもらえませんか?」
佐藤さんはすぐに「分かりました、すぐに対応します」と返事をしてくれましたが、しばらく経っても竹の枝は切られることなく、ますます田中さんの敷地内に広がっていきました。田中さんは我慢できずに「自分でこの枝を切ってもいいんだろうか?」と考えます。
ここで、法律のルールに基づく大事なポイントが出てきます。
自分で枝を切ることはできるのか?
民法第233条によれば、竹木の枝が境界線を越えてきた場合、隣地の竹木の所有者に対して、その枝を切除するよう要求する権利があります。つまり、田中さんは佐藤さんに対して「枝を切ってください」と依頼する権利があります。
そして、佐藤さんが依頼に応じず、催告しても相当の期間内に枝を切除しない場合、田中さんは自らその枝を切り取ることが法律上認められています。したがって、田中さんが自分で枝を切ることは法律に反していません。(詳しくは民法233条を確認して下さい)
田中さんは法律に基づいて「佐藤さんにお願いしたけど、対応しないなら自分で切ってもいいんだ」と理解し、庭の手入れを再開しました。もちろん、隣人との関係を悪化させないためにも、再度佐藤さんに連絡を入れ、丁寧に対応しました。
「佐藤さん、竹の枝がどうしても庭にかかってきてしまっているので、自分で切らせてもらいますね」と。
枝だけでなく、根についても知っておこう
一方で、竹木の根が境界を越えて伸びてきた場合、法律は異なる扱いをしています。民法第233条では、竹木の根については所有者に通知せずとも、自分で勝手に切り取ることができると定められています。
田中さんも「根は勝手に切れるんだな」と、この点を理解し、対処しました。
まとめ:境界を超えた竹木への対応は法に則って
境界線を越えてくる隣地の竹木の枝については、まずは竹木の所有者に切除を依頼することが第一歩です。そして、相手が対応しない場合には、自分で枝を切除することも認められています。さらに、竹木の根については、隣地所有者の許可なしに自分で切り取ることができます。
ただし、隣人との関係を大切にし、コミュニケーションを大事にしながら行動することが重要です。法律を守りながらも、相手との対話を通じてトラブルを回避しましょう。