※この記事の登場人物・会話・内容はフィクションです。実在の個人・団体とは一切関係ありません。
山と海に囲まれた町・緑ヶ丘市。
雨の多い地域として知られ、毎年のようにがけ崩れのニュースが住民を不安にさせていました。
そんな町で、丘陵地を開発して新しい住宅地をつくる計画が持ち上がります。
開発を担当する建設会社は、地元の理解を得るために住民説明会を開催しました。
目的は、造成工事の内容や安全対策を説明し、地域の不安を解消することです。
説明会には多くの住民が集まりました。
「ここ、昔から崖崩れが多い場所なんですよ」
「安全は本当に大丈夫なんですか?」
住民の不安に対して、業者の担当者は胸を張って答えます。
「ご安心ください。私たちは盛土規制法(正式名称:宅地造成及び特定盛土等規制法)に従って設計・施工します。」
会場の空気が少し和らいだそのとき、前列の佐藤さん(65)が静かに手を挙げました。
「すみません。法律どおりにやるっていうのは分かりましたけど……
それだけで、本当にこの土地は安全になるんでしょうか?」
会場は再び静まり返ります。
担当者は一瞬言葉に詰まり、「できる限りの安全対策を取ります」と答えるのが精一杯でした。
説明会の翌日。
佐藤さんは、市役所の防災担当窓口を訪れました。
「昨日の開発計画のことなんですが……。
あの場所、昔から雨が続くと地盤が緩みやすくて、崩れたこともあるんです。
ちょっと見ていただけませんかね。」
職員は真剣に話を聞き、現地の状況を詳しく記録。
その内容は後日、都道府県の担当部署へ正式に報告されることになります。
数日後、県庁では技術職員が上司に進言していました。
「この地域は雨量が多く、急な斜面が連なっています。従来の基準だけでは、十分な安全性を確保できない可能性があります。」
その報告を受けた知事は慎重に判断しました。
「地域の地形や気候の特徴を踏まえて、安全対策をさらに強化しよう。国が定める基準だけでは十分ではない恐れがあるため、県として地域実情に応じた技術基準を追加できる。住民が安心できるよう、規制区域の指定と基準の見直しを進めよう。」
やがて町の掲示板に「新たな技術基準の制定」と「特定盛土等規制区域の指定」が告示され、ニュースでもその内容が報じられました。
画面を見つめながら、佐藤さんは小さく微笑みました。
「相談してみて良かった。ちゃんと動いてくれて、本当にありがたいね。」
📘 知っておこう!改正「盛土規制法」と知事の権限
2023年5月に施行された盛土規制法(正式名称:宅地造成及び特定盛土等規制法)では、従来の「宅地造成等規制法」よりも広い範囲で、盛土・切土・土石の堆積などを規制できるようになりました。
主なポイント
- 対象拡大:宅地だけでなく、農地・森林・原野なども対象
- 許可・届出制度の強化:規制区域内では事前許可が必要
- 中間検査・完了検査の義務化
- 維持管理義務・罰則の強化(命令違反には懲役や罰金)
- 区域指定の仕組み:
都道府県は「宅地造成等工事規制区域」や「特定盛土等規制区域」を指定し、
地域の実情に応じた安全基準を設定できる。
また、知事は地域の地形・気候の特殊性を考慮し、
国の基準に上乗せする技術的基準を定める権限を引き続き持っています。
つまり、地元の安全を守るために、都道府県レベルで独自の強化策を講じられるのです。
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土地の安全性や区域の規制は、売却価格や取引のしやすさにも影響します。
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✅ まとめ
- 盛土規制法(旧:宅地造成等規制法)は2023年に改正され、対象範囲と安全基準が強化された
- 都道府県知事は、地域の気候や地形に応じて独自の技術基準を追加できる
- 開発や売却を検討する際は、土地が「規制区域」に該当するか必ず確認を
- 土地の価値や安全性を把握するには、専門家や査定サービスの活用が有効
