これは、不動産に関する法律や税金の知識を、物語形式でわかりやすくお伝えするミニドラマです。
登場する人物や団体はフィクションであり、実在のものではありません。
昨日、久しぶりに兄と飲みながら話していた。

「なぁ、防火地域と準防火地域って、何が違うんだ?」
そんな何気ない一言から、兄の説明が始まった。
兄によれば、防火地域とは、火災の拡大を防ぐために建築物に最も厳しい耐火規制が求められる地域のこと。都心部や駅周辺など、特に火災リスクが高いエリアに指定されているそうだ。建物の構造や材料について、非常に厳しいルールが設けられているという。
一方、準防火地域はその周囲に設定されることが多く、防火地域ほどではないものの、一定の耐火性能を持つ建築が求められる地域だ。
どちらも都市の防災計画にとって欠かせない存在だと、兄は教えてくれた。
そして話題は、最近の法改正にも及んだ。
新潟県糸魚川市の大火災と法改正の背景
2016年、新潟県糸魚川市で発生した大規模火災。 あの火事は、なんと30時間も燃え続け、150棟以上が被害を受けた。
この背景には、古い木造住宅が密集していたことがある。 実は、防火地域や準防火地域では、建築基準法の規制が厳しく、既存建物を現行基準に合わせて建て替えるのが難しいケースも多かった。その結果、老朽化した住宅がそのまま放置され、火災の被害が拡大してしまったのだ。
ここで兄がふとグラスを置き、言った。
「普通さ、こんな大きな火事が起きたら、ルールってもっと厳しくなると思うだろ?」
「たしかに……。『さらに厳格にしよう』って流れになりそうだよね。」
俺がうなずくと、兄は続けた。
「でも、今回は逆だったんだ。厳しい基準が逆に建て替えを妨げてるって反省から、ルールを少し緩める方向に動いたんだよ。」
「え、逆に緩和? 意外だな。」
「そう。耐火性能の高い建物に建て替えるなら、建ぺい率をちょっと優遇してあげる。そうすれば古い家も建て替えしやすくなるってわけ。」
2018年 建築基準法改正:耐火建築物への建て替え支援
そして2018年、建築基準法が改正された。
防火地域や準防火地域内で、耐火建築物または準耐火建築物に建て替える場合、一定条件のもとで建ぺい率が10%緩和される措置が導入されたのだ。
これにより、
- 耐火性能の高い建物への建て替えを促進
- 建て替えをしやすくすることで老朽建築物を減らす という狙いがあった。
※建ぺい率の緩和は、地域や用途地域、敷地面積などによって適用されないケースもあります。最終的な判断は、必ず専門家(建築士や行政窓口など)にご相談ください。
防火地域・準防火地域で不動産を持つなら知っておきたいこと
兄は最後に、こんなアドバイスもしてくれた。
「防火地域や準防火地域で事務所や店舗を持とうと思ってるなら、この話は絶対知っといた方がいいぞ。売るときも、建築規制が価格や売り方に影響することがあるからな。」
不動産売却を考えるなら、建築規制を踏まえたアドバイスが重要になる。最近は「不動産売印王」など、無料で査定や売却サポートをしてくれるオンラインサービスもある。こうしたサービスを利用すれば、最適な販売方法を相談しながら進められるので安心だ。
兄の話を聞きながら、私はその夜、変わり続ける都市の姿を想い描いていた。