会社員の方は、税金の手続きを勤務先の年末調整で済ませていることが多いと思います。ただ、住宅ローンや不動産の売却・賃貸が関わると、年末調整だけでは手続きが終わらない場合があります。不動産に関わる項目を、どちらで手続きするかで整理しました。
年末調整と確定申告の違い
年末調整は、勤務先がその年の給与にかかる所得税を精算する手続きです。大部分の給与所得者は、勤務先の年末調整で所得税額が確定し納税も完了するため、確定申告は必要ありません。
■ No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(国税庁)
一方、確定申告は自分で税務署に申告する手続きです。会社員でも、給与の年間収入が2,000万円を超える人や、給与・退職所得以外の所得の合計が20万円を超える人などは、確定申告が必要です。
年末調整で手続きできる不動産関連の項目
① 住宅ローン控除(2年目以降)
住宅ローン控除(正式名称:住宅借入金等特別控除)は、ローンの年末残高に応じて所得税などが軽くなる制度です。会社員であっても初年度は自分で確定申告を行う必要があり、年末調整だけで完結するのは2年目からです。
■ 住宅ローン控除の1年目と2年目以降の手続き(マネーフォワード クラウド)
2年目以降は、初年度にきちんと確定申告をしていれば、残りの年数分の「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」が税務署から送られてきます。これに、金融機関から届く「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」を添えて勤務先に提出します。
■ 住宅ローン控除2年目以降の年末調整の書き方(All About)
なお、制度は令和8年度税制改正で適用期限が5年間延長され、令和8年1月1日から令和12年12月31日までの入居が対象になっています。
② 地震保険料控除
自宅に地震保険をかけている場合は、支払った保険料に応じて最高5万円まで控除を受けられます。年末調整では「保険料控除申告書」に記載し、控除証明書を勤務先に提出すれば手続きが完了します。ただし、火災保険の保険料は対象になりません。
■ 年末調整 保険料控除申告書の書き方(All About)
確定申告が必要な不動産関連の項目
① 住宅ローン控除の1年目
前章のとおり、初年度は年末調整では手続きできません。
② 不動産を売却したとき
売却して利益(譲渡所得)が出た場合は、確定申告が必要です。自宅を売った場合は、所有期間の長短に関係なく、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります。対象には、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る、以前に住んでいた家も含まれます。この特例を使うには確定申告が必要です。「控除で税金がゼロになるから申告不要」とはならない点に注意してください。
③ 家賃収入があるとき
アパートや貸家の家賃収入(不動産所得)は、年末調整の対象外です。会社員が不動産所得の申告が必要と知らずに数年間申告しておらず、税務調査を受けたという話もあります。
売却を考えている方の注意点
自宅の売却と住み替えを考えている方は、特例の組み合わせに注意が必要です。国税庁の資料では、令和7年分の申告で3,000万円特別控除などの特例を受けると、令和8年・令和9年に借入金で住宅を取得して入居しても、住宅ローン控除を受けられないとされています。
■ 居住用財産を譲渡した場合の特例チェックシート 令和7年分(国税庁 東京国税局)
売却益が大きい場合と新居のローンが大きい場合で、どちらの制度が有利かは変わります。売却や住み替えの時期を決める前に、税務署や税理士に確認することをおすすめします。
【まとめ】
住宅ローン控除の2年目以降と地震保険料控除は年末調整、それ以外の売却・賃貸・ローン控除1年目は確定申告が基本です。不動産が関わる年は、早めに手続きの区分を確認しておきましょう。