
共有不動産や共有物など、複数人で所有している財産をどのように整理・分割できるのか、悩まれる方は少なくありません。
共有関係を解消し、それぞれの所有権を明確にするためには、どのような分割方法があるのかを理解しておくことが大切です。
ここでは、共有物分割の基本的な考え方から、具体的な方法、裁判になった場合の進め方までを解説します。
共有物分割の方法は何か
現物分割と換価分割

共有物の分割方法には、主に「現物分割」「換価分割」「価格賠償」の3つがあります。
現物分割とは、共有物を物理的に分け、各共有者がそれぞれ分けられた部分を単独で所有する方法です。
たとえば、土地を分筆して、各共有者がそれぞれの区画を所有するケースがこれにあたります。
一方、換価分割は、共有物を売却して得られた代金を、各共有者の持分割合に応じて分ける方法です。
不動産の形状や利用状況から現物のまま分けることが難しい場合や、共有者全員が金銭での分配を希望する場合に検討されます。
なお、共有者全員の合意によって共有物を通常の方法で売却し、その代金を分ける換価分割と、裁判所が共有物分割の方法として命じる競売とは異なります。裁判による競売については後ほど解説します。
価格賠償とは、共有者の1人などが他の共有者の持分を取得し、その代わりに金銭を支払う方法です。たとえば、1人の共有者が不動産を単独で取得し、他の共有者に持分相当額を支払う方法があります。
不動産などを売却したり物理的に分けたりせず、特定の共有者が取得することで共有関係を解消したい場合に検討される方法です。
協議による分割

共有物分割の最も基本的な方法は、共有者全員による協議です。
民法では、原則として、各共有者はいつでも共有物の分割を請求できるとされています。ただし、共有者間で5年を超えない期間について共有物を分割しない旨の契約をしている場合など、例外もあります。
そのため、まずは共有者間で話し合い、どのような方法で分割するのかを決めることが基本です。
協議が成立すれば、その合意内容に従って分割を進めます。
協議による分割は、共有者同士の事情や希望を反映しやすく、柔軟な解決ができる点がメリットです。
ただし、不動産の場合は、分割後の権利関係を第三者に主張するために、登記手続きも重要になります。
なお、相続によって共有となった不動産については、共有物分割ではなく遺産分割の手続きが必要となる場合があります。相続開始からの経過期間などによって扱いが異なるため、相続不動産では注意が必要です。
裁判分割ではどうなるか
裁判所が定める分割方法

共有者間で分割方法について合意できない場合や、協議自体ができない場合は、裁判所に共有物の分割を請求できます。
裁判所は、共有物の性質や利用状況、共有者間の公平など、個別の事情を踏まえて分割方法を判断します。
裁判による分割では、共有物を現物のまま分ける現物分割や、特定の共有者が他の共有者の持分を取得し、その代わりに金銭を支払う価格賠償が検討されます。
これらの方法で分割できない場合や、分割によって共有物の価格が著しく減少するおそれがある場合には、競売によって売却し、その代金を分ける方法がとられることもあります。
このように、裁判所は一つの方法だけでなく、共有物の状況に応じて分割方法を判断します。
分割後の効果

共有物の分割が完了すると、共有関係は解消され、各共有者は分割によって取得した財産について単独の権利を持つことになります。
協議による分割の場合は、共有者間の合意に基づいて権利関係が整理されます。
不動産の場合、当事者間では合意によって権利関係が変わりますが、第三者に対抗するためには登記が重要です。
裁判による分割の場合は、判決が確定することで分割の効力が生じます。
ただし、不動産については、裁判による分割であっても、第三者に対抗するために登記手続きを行うことが重要です。
また、分割によって他の共有者が取得した物について、各共有者は売主と同様に、その持分に応じた担保責任を負います。
さらに、共有物に抵当権など第三者の権利が設定されている場合は、その権利者の保護や登記関係も問題になります。
分割方法によって影響が生じる可能性があるため、事前に権利関係を確認しておくことが大切です。
まとめ

共有物の分割は、共有関係を解消し、それぞれの権利関係を明確にするための重要な手続きです。
分割方法には、共有物をそのまま分ける現物分割、売却して代金を分ける換価分割、特定の共有者が取得して他の共有者に金銭を支払う価格賠償があります。
まずは共有者間で協議し、全員が納得できる方法を決めることが基本です。
協議がまとまらない場合や協議ができない場合には、裁判所に共有物分割を請求することになります。
裁判所は、共有物の性質や利用状況などを踏まえて、現物分割や価格賠償、場合によっては競売による分割を判断します。
不動産の場合は、分割後の登記や抵当権など第三者の権利関係も重要になるため、共有物分割を検討する際は、専門家に相談しながら慎重に進めることが大切です。
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