
相続が発生した際、故人の財産をどう管理・整理すべきか、予期せぬ状況に直面することがあります。
特に、相続人の存在が明らかでない場合や、相続人全員が相続放棄をしたケースでは、財産を管理・清算する必要が生じることがあります。
このような状況下で、法律に則って財産の整理を進めるために、専門的な役割を担う存在が必要となります。
それが「相続財産清算人(改正前の民法952条では「相続財産管理人」)」と呼ばれる存在です。
今回は、その役割や選任のプロセスについて解説します。
相続財産清算人とは
相続人の存在が明らかでない場合や、相続人全員が相続放棄をして相続する人がいなくなった場合など、相続財産を管理する者がいない状況が生じることがあります。
このような場合に、家庭裁判所が選任する者が「相続財産清算人」です。
この制度は、2023年4月1日施行の改正民法より前は、民法952条に基づく「相続財産管理人」と呼ばれていました。法改正後は「相続財産清算人」という名称に改められています。
なお、現在も民法897条の2に基づく別の制度として「相続財産管理人」が存在します。こちらは相続財産の保存・管理を目的とする制度であり、本記事で解説する「相続財産清算人」とは役割が異なります。
相続財産清算人は、被相続人の財産を法に則って管理し、最終的な整理を行う役割を担います。
相続人がいない場合に財産を管理する
相続人の存在が明らかでない場合や、相続人全員が相続放棄をして相続する人がいなくなった場合、被相続人の財産は誰かが管理・整理する必要があります。
相続財産清算人は、このように相続人の存在が明らかでない場合などに、法律上の手続きを経て相続財産を管理・清算する役割を担います。
家庭裁判所が選任する
相続財産清算人は、自動的に選任されるわけではありません。
利害関係人や検察官から家庭裁判所への申立てに基づき、家庭裁判所が必要な事項を確認した上で選任します。
選任にあたっては、被相続人との関係や利害関係の有無などを考慮し、相続財産の清算を行うのに適任と認められる人物が選ばれます。
相続財産清算人の役割と選任

相続財産清算人は、相続人がいない状況下で、故人の財産に関する法的な手続きを円滑に進めるための重要な役割を果たします。
その選任プロセスも、一定の要件と手続きを経て行われます。
債権者への弁済や財産清算を行う
相続財産清算人の主な役割は、被相続人の債権者に対して債務を弁済することや、遺産を清算することです。
遺産の中から借金などの債務を支払い、残った財産を整理します。
相続財産清算人が適切に財産を管理・清算することで法的な手続きが進められ、債権者や受遺者への支払いや特別縁故者への財産分与などを経て、残余財産がある場合には国庫への引継ぎが行われます。
被相続人と特別な縁故があった「特別縁故者」は、一定の期間内に家庭裁判所へ相続財産分与の申立てをすることができます。家庭裁判所が分与を認めた場合、相続財産清算人はその審判に従って財産を引き渡します。
相続財産に土地や建物が含まれている場合には、必要に応じて家庭裁判所の許可を得た上で不動産を売却し、現金化することもあります。
利害関係人や検察官が申し立てる
相続財産清算人の選任は、家庭裁判所への申立てによって開始されます。
この申立てを行えるのは、被相続人の債権者、特定遺贈を受けた者、特別縁故者といった「利害関係人」や、検察官です。
これらの申立人によって、家庭裁判所に相続財産清算人の選任が請求されます。
まとめ

相続財産清算人は、相続人が存在しない、あるいは相続人全員が相続放棄をしたといった特殊な状況において、家庭裁判所によって選任される重要な役割を担います。
その主な任務は、被相続人の債権者への弁済や遺産の清算であり、利害関係人や検察官の申し立てに基づいて選任されることになります。
相続財産清算人が適切に財産を管理・清算することで、法的な手続きが円滑に進み、最終的に財産が国庫に帰属するなどの決着が図られます。
相続財産清算人は、相続人がいない場合などに、残された財産を適切に管理・清算するための重要な役割を担っています。
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