※ 2026.7.23 加筆・修正
「敷地の中に電柱が立っているけれど、この土地は売れるのだろうか」——そんな不安をお持ちの方は少なくありません。
結論から言えば、電柱があっても土地は売却できます。
ただし、位置によっては買主の使い勝手に影響するため、事前の準備と説明の仕方が結果を左右します。
この記事では、敷地内の電柱の仕組み、売却価格への影響、移設費用の考え方、そして買主への伝え方までを整理してご紹介します。
敷地内の電柱と道路上の電柱、何が違う?
ひと口に「電柱がある土地」といっても、電柱が敷地の内側に立っているのか、敷地前の道路に立っているのかで話はまったく変わります。
道路上の電柱は道路占用許可に基づいて設置されているため、土地所有者との契約はなく、敷地料も発生しません。
土地の使い勝手への影響も限定的で、売却上の論点になることはほとんどありません。
一方、敷地内(私有地)に立っている電柱は、土地所有者と電力会社・通信会社との契約に基づいて設置されています。
この記事で扱うのは、こちらのケースです。
まずは、ご自身の土地の境界と電柱の位置関係を確認してみてください。
土地の敷地内に電柱がある場合どうなる?
敷地内に電柱を設置する際は、電力会社や通信会社と土地所有者が契約を結び、その対価として電柱敷地料(土地使用料)が支払われます。

■ 金額と支払いのタイミング
敷地料の金額は、地目(宅地・田畑・山林など)や、設置物が電柱本体か支線(電柱を支える斜めのワイヤー)かによって異なります。
宅地に立つ電柱1本であれば年額1,500円程度が目安とされますが、支線はこれより低く設定されるのが一般的です。
また、支払いは毎年とは限りません。
3年分・5年分をまとめて振り込まれる契約も多く見られます。
「振り込まれていないから契約がないはず」と判断せず、契約書や振込通知でご確認ください。
いずれにしても、収益として期待できる水準ではありません。買主に「収入がある土地」と過度な期待を持たせる説明は避け、金額を正確に伝えましょう。

■ 契約は買主に引き継がれる?
電柱の敷地使用契約は、土地に付いてくる権利ではなく、所有者個人との契約であることが一般的です。
そのため所有権が移転しても自動で名義が変わるわけではなく、買主が電力会社・通信会社に所有者変更を届け出る必要があります。
この手続きを忘れると、敷地料が売主の口座に振り込まれ続けてしまうこともあります。
決済後の手続きとして、買主に必ず案内しておきましょう。
あわせて、登記簿に地上権や地役権が設定されていないかを事前に確認しておくと安心です。
■ 電柱の存在は必ず書面で伝える
電柱があること自体は、隠すような事柄ではありません。
むしろ問題になるのは、伝え方が不十分だった場合です。
電柱の存在と敷地料契約の内容は、口頭で伝えるだけでなく、物件状況等報告書(告知書)に記載し、売買契約書にも明記してください。
2020年4月施行の改正民法では、従来の瑕疵担保責任が契約不適合責任に改められており、契約内容と実際の状態が異なる場合、買主から修補や代金減額を求められる可能性があります。
売却前に、敷地料の契約書と直近の振込通知を手元に揃えておくと、商談がスムーズに進みます。
電柱を移設する際の注意点とは

「売却前に電柱を動かしておきたい」と考える方もいらっしゃいます。
ただし移設は、申し出れば必ず実現するものではありません。
手順と制約を順に確認しておきましょう。
まずは電柱の所有者に相談する
最初に連絡すべき相手は、電柱の所有者です。
電柱には所有者名の入ったプレートが取り付けられており、電力会社のものか通信会社のものかを確認できます。
なお、電力会社の電柱に通信会社の線が架かっている(共架されている)ケースもあります。
この場合でも、共架事業者との調整は電柱の所有者側が窓口となって進めるのが一般的です。
土地所有者がそれぞれの会社と個別に交渉する必要は、通常ありません。
まずは所有者に、技術的に移設が可能か、移設先の候補があるかを相談してください。
移設できないケースもある
周囲に代替となる設置場所がない、電線の張り方の都合で位置を動かせない、移設先が道路になる場合に道路管理者の占用許可が得られない——こうした理由から、移設が認められないこともあります。
移設できない前提でも売却は可能です。
その場合は、位置と契約内容を正確に伝えたうえで、価格に織り込んで売り出す方法を検討しましょう。
移設先の近隣への配慮
移設先の候補が隣地の前や近隣の敷地際になる場合、当然ながら相手方にも「自分の土地の前に電柱が来る」という心情があります。
候補地が絞られた段階で、丁寧に説明と調整を行いましょう。
売却後に近隣トラブルが表面化すると、買主にも影響が及びます。
合意の経緯は記録に残しておくと安心です。

電柱の移設費用は誰が負担する?
土地所有者側の都合で移設を申し出る場合、費用は原則として申し出た側の負担となります。
費用は電柱の種類、移設距離、地中の埋設物の状況、工事に交通規制が必要かどうかなどによって大きく変わります。相場を一律に示すことは難しいため、必ず事前に見積もりを取ってください。
一方、道路拡幅などの公共事業に伴う移設や、電力会社側の都合による移設では、負担者が異なります。
移設の理由によって扱いが変わる点にご注意ください。
また、移設には現地調査・許可取得・工事日程の調整が必要で、数か月を要することもあります。
売却スケジュールに直接影響するため、検討する場合は早めに相談しましょう。
なお、移設費用が売却価格の上昇分を上回ることもあります。
「移設せずに、位置を正直に説明したうえで価格に反映して売り出す」という選択も、十分に現実的な判断です。
見積もりを取ったうえで、仲介会社と比較検討することをおすすめします。
まとめ
敷地内に電柱がある土地を売却する際のポイントは、次の3つです。
(1) 電柱の位置・所有者・敷地料の契約内容を、売り出し前に確認しておく
(2) 電柱の存在は物件状況等報告書に必ず記載し、書面で伝える
(3) 移設を検討する場合は、まず電柱の所有者に可否と費用の見積もりを確認する
電柱の位置や契約内容によって、売却の進め方や価格への影響は変わります。
まずは「この地域の土地はどのくらいの価格帯なのか」という大まかな相場を把握しておくと、その後の検討がしやすくなります。
当サイトでは、Web上で完結する簡易的な相場チェックをご利用いただけます。
電柱の有無といった個別の事情までは反映されませんが、検討の出発点としてお役立てください。
そのうえで、ご自身の土地の具体的な条件を踏まえた判断については、不動産会社にご相談ください。

「不動産売却王」は、物件情報を入力するだけで自動査定が受けられる無料サービスです。難しい手続きは不要で、スマホからでもかんたんに使えます。査定を受けたからといって、売却を急ぐ必要はまったくありません。