
不動産売買契約は、住宅や土地といった大きな資産の取引において、その権利や義務を明確にするための非常に重要なステップです。
この契約を経て、売買は法的に拘束力を持つことになります。
しかし、契約の手続きや内容について、不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
ここでは、不動産売買契約の基本的な内容から、契約当日の具体的な流れまでを分かりやすく解説し、安心して取引を進めるための一助となる情報をお届けします。
不動産売買契約の基本とは
契約の目的と役割

不動産売買契約は、売主と買主の間で不動産の売買に関する条件を合意し、その内容を法的に確定させるためのものです。
この契約により、いつ、どのような条件で、いくらで不動産が引き渡されるのかといった、当事者双方の権利と義務が明確になります。
これにより、取引の安全性が確保され、後々のトラブルを防ぐことにつながります。
重要事項説明

不動産会社は、売買契約を締結する前に、宅地建物取引士に重要事項の説明をさせることが法律で義務づけられています(宅地建物取引業法第35条)。
これを「重要事項説明」といい、重要事項説明書という書面を用いて行われます。
説明の対象となるのは、主に次のような項目です。
(1) 物件の所在・面積などの基本情報
(2) 所有権や抵当権などの権利関係
(3) 都市計画法・建築基準法などの法令上の制限
(4) 上下水道・電気・ガスの整備状況
(5) 手付金や契約解除に関する条件
所定の要件を満たす場合は、重要事項説明書が電磁的方法で提供されることもあります。
買主は、この説明を十分に理解した上で契約を進めることが大切です。
印紙税の軽減措置

不動産売買契約書には、その金額に応じて印紙税が課税されます。
しかし、租税特別措置法により、特定の期間内に作成される不動産の譲渡に関する契約書については、印紙税の軽減措置が講じられています。
この軽減措置は、平成26年4月1日から令和9年3月31日までの間に作成される、記載金額が10万円を超える不動産の譲渡に関する契約書が対象となります。
軽減後の税額は、契約金額の区分ごとに定められています。たとえば売買代金が1,000万円超5,000万円以下の場合、本来2万円のところ1万円になります(下表参照)。
印紙税額の一覧(軽減措置適用後)
| 契約金額 | 本則税率 | 軽減後の税額 |
|---|---|---|
| 100万円超500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
| 500万円超1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
| 1,000万円超5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
| 5,000万円超1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
| 1億円超5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
※契約金額が1万円未満の場合は非課税、10万円以下の場合は軽減措置の対象外で200円となります。
不動産売買契約当日の流れ
契約書への署名捺印

重要事項説明の内容に双方の合意が得られたら、いよいよ売買契約書の確認と署名・捺印の段階に進みます。
契約書に記載された売買代金、手付金の額、引き渡し時期などの諸条件に間違いがないかを最終確認します。
双方の当事者が内容に納得したら、売主と買主はそれぞれ署名・押印、または電子契約の手続きを行います。
紙の契約書を作成する場合は、契約金額に応じた税額の収入印紙を貼り、印紙と契約書にまたがるように消印(押印または署名)をします。消印をしないと、印紙税を納めたことになりません。
手付金の受け取り

売買契約を結ぶと、その証として買主から売主へ手付金が支払われます。この「契約が成立したことを証明する」という性質を、証約手付といいます。
金額は売買代金の5〜10%程度で設定されることが多く、契約内容や当事者間の合意によって決まります(※不動産会社が売主となる場合は、宅地建物取引業法により売買代金の20%が上限と定められています)。支払い方法は現金・振込などがあるため、当日までに確認しておきましょう。
また、不動産の売買契約では、手付金を「解約手付」と定めるのが一般的です。この場合、相手方が契約の履行に着手するまでは、買主は手付金を放棄することで、売主は受け取った手付金の倍額を返すことで、契約を解除できます。
ただし「履行の着手」にあたるかどうかの判断は難しいため、実務では契約書に「令和○年○月○日まで」と解除できる期限を定めておくのが一般的です。売主にとっては、いつまで買主から解除される可能性があるのかを左右する重要な条項ですので、契約時に必ず確認しておきましょう。
今後のスケジュール確認

契約書への署名捺印と手付金の受け渡しが完了したら、今後の具体的なスケジュールについて確認を行います。
これには、物件の引き渡し日、残代金の決済日、登記手続きの日程などが含まれます。
買主と売主、そして不動産会社の担当者が、これらの重要な日付を共有し、認識を一致させることが、円滑な取引完了のために不可欠です。
まとめ

不動産売買契約は、不動産取引における最も重要なプロセスの一つです。
契約の目的と役割を理解し、重要事項説明を通じて物件や契約内容を正確に把握することが、安全な取引の第一歩となります。
契約当日は、契約書の内容確認、署名捺印または電子契約の手続き、手付金の受け渡しといった流れがありますが、事前に準備を整え、冷静に進めることが肝心です。
また、紙の契約書を作成する場合、印紙税には軽減措置が適用される場合があるため、その内容も確認しておくと良いでしょう。
これらの基本を押さえ、疑問点はその都度確認することで、安心して不動産取引を進めることができます。
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