「うちの家、いつ売ればいいんだろう」
そんなことを、ふと考えたことはありませんか?
地方都市に不動産を持っていると、「別に急がなくてもいいか」と思いがち。でも実は今、日本の住まいをめぐる環境が静かに、でも確実に変わりつつあります。
今回はそのあたりの話を、できるだけわかりやすくお伝えしようと思います。
共働き夫婦が「職場の近く」に引っ越している
まずちょっとした背景知識から。
ここ10年で、夫婦がふたりとも正社員という家庭がぐんと増えています。国の統計データを使った研究によると、2010年から2020年の10年間で、そうした世帯は約1.5倍以上に増えたとされています。
これ、一見「へえ、そうなんだ」で終わりそうな話ですが、不動産市場にとっては見逃せない変化なんです。
なぜかというと、共働きで正社員の夫婦は、通勤時間をできるだけ短くしたいという強いニーズを持っています。子どもの送り迎えや家事を夫婦で分担しようとすると、職場から遠い郊外や地方に住むのは、かなり負担が大きい。
その結果、引っ越し先として選ばれるのは、都市部・駅近・職場に近い場所に集中しやすくなっています。
地方の不動産に何が起きているか
「都市部への人の移動」が進むということは、裏を返せば、地方から人が離れていくということです。
これは地方の不動産市場にとって、じわじわと効いてくる変化です。具体的にはこんな影響が考えられます。
買い手が減りやすくなる
転勤族や地元就職者など、これまで地方物件の主な買い手だった層が、職住近接を求めて都市部を選ぶようになると、地方物件の需要自体が細くなっていきます。
価格が下がりやすい環境になる
需要が減ると、売り出しても売れ残る物件が増えます。売れ残ればやがて価格を下げざるを得ない状況になります。
空き家の増加が加速する
現在でも全国で空き家の増加が問題になっていますが、地方都市ではとくにこの傾向が強まる可能性があります。
賃貸で貸せばいいのでは?と思った方へ
「売らなくても、賃貸に出せばいいんじゃない?」という考え方もありますよね。
ただ、こちらも注意が必要です。ファミリー層(子育て世帯)が地方の賃貸住宅に入居するケースは、需要・供給ともに課題があります。
民間の賃貸市場では、ファミリー向けより単身向けのほうが空き家リスクが少なく、オーナーにとって運用しやすいとされています。そのため、地方でファミリー向け物件を賃貸に出しても、借り手を安定的に確保し続けるのが難しいケースも少なくありません。
もちろん、地域の状況や物件の条件によって違いはありますので、一概には言えません。でも「とりあえず賃貸に」というのが万能策ではないことは、頭に入れておくといいでしょう。
今後どうなっていく?予想できる流れ
少し先を見渡すと、こんな流れが予想されます。
共働き世帯のさらなる増加
女性の就業継続率は年々上がっています。今後も正社員共働き世帯は増え続けることが見込まれ、「職住近接」ニーズは引き続き強まると考えられます。
テレワーク普及による変化(確認が必要)
テレワークが定着すれば、職場の近くでなくても暮らせる人が増え、地方回帰が進む可能性もあります。ただ、現時点では企業によって対応が大きく異なりますので、これが地方の不動産市場を大きく押し上げる保証はありません。今後の動向に注目が必要です。
高齢化・人口減少の影響
地方ほど人口減少・高齢化が進むスピードが速い傾向があります。買い手となる若い世代が地元に残りにくい状況が続けば、売却難易度は時間とともに上がっていく可能性があります。
「まだ先でいいか」が一番のリスクかもしれない
不動産の売却を考えたとき、「もう少し様子を見よう」という判断は珍しくありません。でも、上でお話ししたような市場の変化は、すでに始まっています。
今は買い手がいるエリアでも、5年後・10年後はわかりません。
もちろん、売却が正解かどうかは、それぞれの状況によって違います。急かすつもりはまったくありません。ただ、「なんとなく後回し」にするのではなく、一度きちんと自分の物件の状況を把握してみることが、今できる最初の一歩になるんじゃないかと思います。
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