不動産やその他の固定資産を所有していると、「評価額」と「時価」という言葉を耳にする機会があるかもしれません。
これらは資産の価値を示す際に用いられる言葉ですが、その算出方法や意味合いは異なります。
特に、税金や相続などの手続きにおいては、これらの違いを理解しておくことが重要となります。
資産の価値を正しく把握するため、評価額と時価の違いについて見ていきましょう。
固定資産と時価の評価額の違い
評価額は公的基準に基づく価格

固定資産の「評価額」は、税金などの計算基準として用いられる価格であり、公的な基準に基づいて定められています。
例えば、固定資産税の評価額は、固定資産税評価基準に基づき市町村が決定します。
また、相続税の計算に用いられる相続税評価額は、財産評価基本通達という基準に沿って納税者自身が計算しますが、こちらも一定のルールに基づいています。
時価は市場での取引価格

一方、「時価」とは、その資産が市場で実際に取引される場合の価格を指します。
これは、需要と供給のバランス、物件の状態、周辺環境など、様々な要因によって常に変動する価格です。
不動産であれば、購入希望者と売却希望者の間で合意される価格が時価となります。
時価を把握するには、不動産会社に査定を依頼したり、周辺の成約事例を確認したりすることが有効です。
評価額は時価より低く設定される

一般的に、固定資産税評価額や相続税評価額といった公的な評価額は、実際の市場での取引価格である時価よりも低く設定されています。
公示価格を基準にした場合、固定資産税評価額は約7割、相続税評価額は約8割程度が目安とされています。
つまり、評価額は時価よりも控えめな値となる傾向があるのです。
なぜ固定資産の評価額は時価と異なるのか
不動産価格の変動に対応するため

固定資産の評価額が時価と異なる理由の一つに、不動産価格の変動への対応があります。
土地の価格は日々変動していますが、固定資産税評価額は原則として3年に一度の評価替え、相続税評価額の基準となる路線価は年に一度の見直しとなっています。
そのため、実際の市場価格が急激に上昇・下落した場合でも、その変動がすぐに評価額へ反映されるわけではありません。
もし時価の変動をそのまま反映してしまうと、地価の上昇時には税額が急に大きく増え、納税者の負担が一気に重くなる可能性があります。
こうした急激な税負担の変化を避けるため、評価額は一定のルールに基づき、変動が緩やかになるように算定されています。
課税のための基準価格であるため

もう一つの理由として、評価額と時価では「使われる目的」が異なる点が挙げられます。
固定資産税評価額や相続税評価額は、税金を計算するための基準として用いられるため、全国で統一されたルールに基づいて算定されます。そのため、個別の事情によって大きく変動する市場価格(時価)とは切り離して考えられています。
一方で、時価は景気や周辺環境の変化によって常に動く実際の取引価格であり、同じ不動産でも条件やタイミングによって価格が変わります。
このように、評価額は「税金を計算するための基準」、時価は「実際に売買される価格」と役割が異なるため、両者には差が生じます。
まとめ

固定資産の「評価額」と「時価」は、その性質と算出根拠が異なります。
「評価額」は、固定資産税や相続税の算定基準として、公的な基準に基づいて定められた価格です。
一方、「時価」は、市場における実際の取引価格であり、日々変動します。
評価額は、不動産価格の急激な変動への対応や、換金に伴う各種負担を考慮して、時価よりも低めに設定されるのが一般的です。
これらの違いを理解しておくことは、資産の価値を正しく把握するうえで重要です。特に不動産の売却を検討している場合は、評価額ではなく「実際にいくらで売れるか(時価)」を把握することが大切です。まずは不動産会社に査定を依頼し、現在の市場価格を確認することから始めてみましょう。
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