いま相続の現場で起きている変化とは?
最近、非上場企業の株式を相続する際の税金計算をめぐって、国税当局による「例外的な課税処分」が増えています。
これは、国税庁が定めた「財産評価基本通達・総則6項」という特例規定を活用するケースが増えているためです。
(https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/01/01.htm)
「総則6項」とは、通達どおりの評価計算では“著しく不適当”と判断される場合に、国税当局が独自に評価し直すことを認めたルールです。
いわば“最後の手段”であり、適用されると株式の評価額が大きく上がり、相続税が数千万円単位で増えることもあります。
近年では、被相続人の死亡前に新株発行や配当を行ったことで評価額が下がったものの、国税当局が「節税目的の操作」と判断して再評価する事例も出ています。
こうした動きによって、「評価が正しいのか」「どこまでが合法的な節税なのか」という線引きが、より曖昧になりつつあります。
なぜ今、こうした課税処分が増えているのか
背景には、相続税の申告件数の増加と、評価制度そのものの限界があります。
非上場株の評価は、主に次の3つの方式で行われます。
(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4638.htm)
- 類似業種比準方式:上場企業の株価などを基準に計算する方法
- 純資産価額方式:会社が持つ資産・負債を基に計算する方法
- 併用方式:上記2つを組み合わせて評価する方法
これらの方式は、会社の実態や将来性を必ずしも正確に反映できないことがあり、結果として「評価額が低すぎる」「逆に実態より高い」などの不公平が生じています。
このようなケースを是正するため、国税当局が“例外規定”である総則6項を適用する事例が増えているのです。
また、会計検査院も2024年11月に次のような指摘を行いました。
「類似業種比準方式の評価は、他の方式に比べて低くなりやすく、課税の公平性に課題がある」
(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4638.htm)
つまり、現行の評価ルール自体が、時代の経済実態に合わなくなってきているのです。
地方の不動産オーナーにも無関係ではない理由
一見「株式の話」と思われがちですが、地方で不動産を所有している方にもこの流れは無関係ではありません。
自社株を持つ不動産オーナーの相続対策に影響
地方では、建設業や不動産管理業など、家族経営の法人を持つ方が多く見られます。
こうした会社の株式(非上場株)は評価が難しく、今後、国税当局の査定が厳しくなると、想定より高い相続税が課される可能性があります。
その結果、納税資金を確保するために、保有不動産の売却を迫られるケースも出てくるでしょう。
つまり、株式評価の変化は、不動産の売却判断にも直結するのです。
地方の資産市場にも波及
株式や事業承継をめぐる税負担が重くなると、企業オーナーが資産整理を進める動きも広がります。
株式や会社資産を現金化する過程で、関連する事業用地や賃貸物件などが売却対象になることもあります。
結果として、地方不動産市場では「資産再編による売却」が増える可能性があり、供給バランスに影響を与えることも予想されます。
今後予想される動きと、今からできる備え
評価ルールの見直しが進む可能性
会計検査院の指摘を受け、国税庁や財務省が非上場株の評価方法を改定する可能性があります。
「より実態に近い評価基準」への転換が検討される可能性があり、そうなれば相続税や贈与税の算出に影響し、今より多くの資産家が課税対象になるかもしれません。
地方オーナーの事業承継・相続対策が重要に
株式評価が上がれば、承継コストや納税負担が重くなります。
早期の相続対策や贈与、法人化による資産分散など、複数の手段を組み合わせることが重要です。
また、相続税の支払い資金をどう確保するかという観点から、不動産の活用や一部売却を検討するケースも増えるでしょう。
不動産売却・整理のタイミングを見極める
もし自社株や関連資産を持っている場合、株式評価の上昇は不動産戦略に影響します。
「相続時に評価が上がる前に整理しておく」「不動産の一部を現金化して納税資金を確保する」など、先を見据えた判断が大切です。
まとめ:いまこそ“資産全体”での見直しを
非上場株式の相続評価ルールをめぐる動きは、事業承継や不動産資産のあり方にも直結する問題です。
とくに地方の不動産オーナーにとって、これは「株式だけの話」ではなく、「家や土地、事業をどう引き継ぐか」という大きなテーマにつながります。
将来的な制度改正を見据え、今のうちから自社株や不動産の価値を正確に把握し、相続・売却の準備を進めておくことが重要です。
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※本記事の内容は一般的な税制・相続に関する情報をもとに作成しています。実際の課税や評価については、税理士など専門家にご相談ください。
