※この記事の登場人物・会話・内容はフィクションです。実在の個人・団体とは一切関係ありません。
日曜の午後、沙織は自宅の売却相談で、不動産会社の営業担当・田中と話していた。
「ちょうどこの物件を検討している買い手さんがいましてね。今日中に返事をもらえないと、別の物件に決めてしまうそうなんです。」
田中は申し訳なさそうな顔でそう言い、書類を差し出した。
沙織は動揺した。
「そんな急に決められません…」
「もちろん強制ではありません。ただ、明日になるとこの条件は出せなくなります。」
やんわりとした言葉の裏に、断りづらい圧力があった。
“この機会を逃したら損をするかも”――そんな不安が押し寄せ、沙織はサインしてしまった。
帰宅後、冷静になると疑念が浮かんだ。
「本当に買い手なんていたのかな…?」
翌日、法律に詳しい友人・美帆に相談した。
「田中さんの言い方は、場合によっては“詐欺”かもしれないね。」
美帆は資料を見ながら言った。
「もし買い手が実際にいなかったなら、虚偽の説明で契約させた“詐欺”になる。
でも、仮に本当に買い手がいたとしても、“今決めないとダメ”という強い圧力で怖くて断れなかったなら、“強迫”に近い状況ともいえるの。」
沙織は驚いた。
「どっちにしても、勝手に無効になるわけじゃないんだよね?」
「その通り。詐欺でも強迫でも、自動的には無効にならない。“取り消します”という意思を伝えて、はじめて契約をなかったことにできるの。」
「強迫」とは、相手に恐怖心を与えて意思決定をさせる民法上の概念であり、「脅迫」は刑法上の犯罪行為を指す。似ているが意味が異なる。ただし、どちらも人の自由な判断を奪うという点では同じだ。
沙織は勇気を出して不動産会社に連絡し、経緯を説明して契約の取り消しを申し出た。
取り消しは書面やメールなど、記録が残る形で行うのが望ましい。
会社側が調査した結果、“買い手が今日中に決めたがっている”という話は事実ではなかった。
正式に契約は取り消され、沙織はようやく安心した表情を見せた。
美帆は最後に言った。
「判断を急かされたら、一度立ち止まることが大事だよ。」
沙織は深くうなずいた。
「取り消さなきゃ無効にならないって、知らなかったな…。でも知ってよかった。」
不動産の契約は金額が大きいだけに、焦りや不安がつきものだ。
焦りを防ぐには、事前に自分の家の相場を把握しておくのが一番。
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最終的な判断は、必ず専門家の指示を仰いでください。
