※この物語はフィクションであり、登場する企業名、団体名、人物名はすべて架空のものです。実在の人物、団体、企業、または出来事とは一切関係ありません。
大阪のとあるマンションに暮らす佐藤真紀(仮名)は、管理組合の理事に選ばれたとき、特に深く考えずに引き受けた。仕事と家事に追われる日々の中で、「理事の仕事は管理会社に任せておけば大丈夫」という安心感があったからだ。
ところがある日、彼女のもとに届いた一通の報告が、マンション全体を震撼させることになる。
消えた1億円――信頼が生んだ油断
管理組合の財務報告を確認していた真紀は、ある異変に気付いた。修繕積立金の口座残高が「ゼロ」となっていたのだ。
「そんなはずはない……」
慌てて通帳を確認しようとしたが、管理会社の担当者が持ち出しており、住民側は誰も中身を確認していなかったことが判明した。さらに調査を進めると、毎年提出されていた預金残高証明書が偽造されていたことが発覚。住民たちは「毎年報告があるから大丈夫」と思い込んでいたが、それが落とし穴だった。
犯人は、長年マンション管理を担当していたベテランの男性社員だった。彼は巧妙に管理組合の信頼を得て、9年間にわたり14のマンションから総額9億円もの資金を着服していたという。

外部委託の落とし穴――便利さの裏に潜む危険
最近では、共働き世帯の増加や住民の高齢化に伴い、管理業務を外部委託するケースが増えている。理事の仕事を管理会社に丸ごと任せる「第三者管理方式」も普及しており、「管理はプロに任せるほうが安心」と考える人も多い。
しかし、今回の事件では、その「任せっきり」が大きなリスクを生んでしまった。住民が通帳の中身を確認する習慣がなく、管理会社の内部監査も機能していなかったため、不正を9年間も見抜けなかったのだ。
資産を守るために住民ができること
マンションは、単なる住まいではなく、大切な資産だ。その価値を守るためには、住民自身がチェック機能を果たすことが不可欠である。
真紀たちは、事件をきっかけに管理組合の運営方法を見直すことにした。
- 定期的に通帳を確認し、管理会社に依存しすぎない
- 総会の出席率を上げ、住民全員で資産の状況を把握する
- オンライン化を活用し、理事会の資料を透明化する
「業者に任せっぱなしではいけない。自分たちの資産は自分たちで守らなければ」
この意識改革が、今後の不正防止のカギとなる。
マンションを売却するという選択肢
管理に不安を感じたとき、マンションを売却するのも一つの選択肢だ。しっかりした管理体制の物件へ移ることで、安心して暮らせる環境を手に入れられる。
「不動産売却王」なら、オンラインで無料査定が可能。専門家のサポートを受けながら、今のマンションの価値を知ることができる。
住まいを資産として考え、最適な選択をすることが、将来の安心につながるのかもしれない。