これは不動産関連の法律や知識を盛り込んだミニドラマです。
物語形式で難解に思われがちな不動産のニュースや法律・知識を出来るだけ分かりやすく伝えています。
なお、このドラマで出てくる登場人物、団体等はフィクションです。
80代の男性、佐藤さん(仮名)は東京都内に複数の不動産を所有していました。中でも評価額が大きかったのは、都心の高層マンション。彼は「家族に相続する際、相続税がどの程度になるか?」と心配し、早くから準備を進めていました。
これまでの試算では、相続税額は約2500万円と見積もっており、家族がこの金額を負担できるように準備を進めていたのです。ところが、2024年1月にマンションの相続税評価額のルールが改定され、計算をやり直した結果、想定していた評価額が大きく変わることになりました。
マンションの評価額はおよそ3億2000万円にまで膨れ上がり、相続税は6500万円に。これまでの倍以上に増えてしまったため、佐藤さんは再び資金対策を考えざるを得なくなりました。
なぜ評価額が大幅に増加?
佐藤さんが抱えていた問題の原因は、新しく導入された「マンションの相続税評価額算出ルール」にありました。従来、マンションはその構造上、土地の持ち分が少ないため、相続税評価額が市場価格に比べて低く算出されることが多く、これが節税対策として注目されていました。しかし、新しいルールでは、マンションの市場価格に合わせて評価額が引き上げられ、特に高層階や築浅物件が大きな影響を受けることになったのです。
例えば、東京都内の築8年、30階建てマンションの12階にある物件では、評価額がこれまでの約3800万円から7600万円にまで跳ね上がりました。佐藤さんの物件もこの例に漏れず、大幅な増加を見せたのです。
解決策を模索する家族
佐藤さんとその家族は、急激に増えた税負担にどう対応するか悩みました。しかし、彼らにとって救いとなる制度が存在しました。それが「小規模宅地等の特例」です。この制度を利用すれば、家族が住み続ける家については、評価額を最大80%減額できる可能性があるのです。
「この特例を使えば何とかなるかもしれない」と思った佐藤さんは、税理士と相談しながら、適用条件を確認していきました。特例を適用できるかどうかは、家族の居住状況などの条件を満たす必要がありましたが、彼らは事前の準備をしっかり行い、制度の適用に備えました。
不動産をどうするか?売却のタイミングを考える
しかし、相続後に不動産を売却するべきかという問題も浮上しました。「今のうちに売って現金化すれば、相続税を払いやすくなるのでは?」と考えるのも無理はありません。しかし、佐藤さんが相談した税理士は「相続後の売却が有利だ」と助言します。
なぜなら、相続税と所得税を調整する「取得費加算の特例」を活用できるためです。これにより、相続税を納めた後で売却すれば、売却益にかかる所得税を軽減することができるのです。
将来に向けた計画的な対策
佐藤さんは、税負担を少しでも軽減するために、今後の対策も検討しました。それは「生前贈与」です。相続財産を減らし、非課税枠内に収めることで相続税の負担を減らす計画です。ただし、贈与税の対象期間も今後延長されるため、計画的に進める必要があります。
終わりに
相続税の負担は、想像以上に大きくなることがあるため、事前の準備が肝心です。不動産を相続する方は、まずは評価額を試算し、税負担がどれほどになるか確認することが重要です。また、相続後の売却や特例の活用など、賢い対応策も検討する必要があります。
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